18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、欧州市場で112.25円まで下落した後は、底堅く推移した。ユーロドルは、イタリア政府が2019年予算案で欧州連合(EU)と合意したとの報道を受けて堅調に推移した。
本日の東京市場のドル円は、日本の11月の対米貿易黒字が増加していた場合、上値が重い展開、減少していた場合は底堅い展開が予想される。しかし、明朝に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)声明でのハト派的利上げへの警戒感から上値は限定的か。
来年1月に開催される「日米物品貿易協定(TAG)」に関する日米通商協議に向けて、米自動車業界は、「為替条項」の導入を要請し、米農産物業界は、農産物の輸入拡大を要請した。11月の対米貿易黒字が拡大していた場合、トランプ米政権からの日米貿易不均衡是正圧力が強まることで、ドル円の上値を抑える要因となる。
FOMCでは、第9次利上げ(FF金利:2.25-2.50%)はほぼ織り込み済みとなっている。9月のFOMC声明から「accommodative(緩和的)」という文言が削除されたことで、半年後の2019年3月での利上げ打ち止めの可能性が示唆された。今回も、「さらなる漸進的引き上げ」の文言の有無に要注目となる。
もし、トランプ米大統領の利上げ路線への批判に屈する形で、利上げ見送りとなった場合、下落基調にあるニューヨーク株式市場には、絶好のクリスマスプレゼント「パウエル・プット」となるが、パウエルFRB議長に対する信頼感は失墜することになる。また、米連邦準備理事会(FRB)が、米国債利回りのフラット化・逆イールド化が警告しているリセッション(景気後退)を警戒しているのではないかとの見方から、NY株売り・ドル売りとなる可能性にも要警戒か。
来年の利上げ見通しが1回のハト派的な利上げとなった場合、パウエルFRB議長が示唆した中立金利水準(2.50-3.50%)のレンジ下限2.50%に到達したことで、予想の範囲内となり、NY株高・ドル高が予想される。
来年の利上げ見通しが2-3回のタカ派的な利上げとなった場合、株式市場の下落が警戒されることで、リスク回避の円買いとなることが予想される。FOMCという重要イベントが過ぎても、21日には米暫定予算の期限切れを迎えることで、クリスマス中の一部連邦政府機関の閉鎖の可能性から、ドル円の上値は限定的となる。
ドル円の買い材料は、米中貿易協議が進展するとの期待感、本邦企業による海外企業の買収に伴う円売り、第4四半期末に向けた米グローバル企業のリパトリエーション(資金の米国送金)や年末・年始のドルファンディング需要などが挙げられる。
ドル円の安値は、12月6日と10日が112.24円、昨日は112.25円までで下げ止まっており、おそらく112.25円前後に大口の実需筋(買収案件?)のドル買いオーダーが置かれていると思われる。

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