ニュージーランドは地理的にも少々離れた島国というのが一般的な印象ではない
でしょうか。しかしながら、ニュージーランドは最も新しく発見された島国の一
つであるにも関わらず、安定した政治経済や生活水準を誇る国なのです。
またご存知のとおり、美しい地形と多様な生物を楽しむため毎年大勢の旅行者が
訪れる場所としても知られています。
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ニュージーランドドルのお話に入る前に、今回はニュージーランドの概要と経済
活動に関して少し紹介させて頂きます。
ようこそ、ニュージーランドへ!
ニュージーランドは南半球に位置し、隣国には西1500kmにオーストラリア、そし
て北1000kmにはフィジー、トンガ、サモアといった太平洋諸島があります。
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先住民のマオリは、ニュージーランドを“アオテアロア”(白く長い雲がたなびく
地)と名づけました。北部と南部の主要な島と多くの小さな島々により形成され
た国で、人口は約440万人で北部と南部の割合は2対1となります。北部の高い人
口率の理由は、最大都市のオークランド(人口:1,413,700人)や首都のウェリ
ントン(人口:393,600人)の存在に加え、ニュージーランド国内では比較的大
きいハミルトン(人口:218,800)やタウランガ(人口:127,700)と言った都市
があるからです。
ちなみに皆さんがイメージするニュージーランドと言えば、ラグビーのオールブ
ラックス、酪農、景観、白ワイン、数名の俳優、ロード・オブ・ザ・リングそし
てファンタジー映画のホビットのロケ地ではないでしょうか。
天候は?
オーストラリアやフィジーといった国々に囲まれていますが、その気候は皆さん
が想像されている暑さより若干おだやかなのではないでしょうか。夏季には(摂
氏)20-30度、冬季は10-15度が傾向といったところです。日本とは逆で、1月2月
が最も暖かく、7月8月が最も寒い季節です。
南半球に位置しているため、南下するほど気候は涼しくなります。北半球との気
候も正反対となりますね。北半球が夏季であれば南半球のニュージーランドは冬
季となります。
加え、地形学的に気候の微変動が特徴です。この様な気候の恩恵を受け、ワイへ
ケ島のオリーブ栽培、プレンティ湾地方におけるキウイフルーツ栽培など北部で
は様々な果実類の栽培が行われます。一方、より気温の低いその他の地域ではこ
れら果実の栽培はできません。
経済
ニュージーランド経済は、2013年度の統計でサービス産業がGDPの63%を占めて
おり当該産業に関しては他の先進国にもひけをとらないと言えるでしょう。
そして第二次産業は、食品加工、林業そして鉱業等が含まれます。しかしなが
ら、第一次産業の興味深いところは、2013年度GDPの僅か6.5%を占めるに留まっ
たにも関わらず、為替のみならず輸出に大きな影響を与え続けた事でしょうか。
これらに関しては以下に続く輸出と為替相場のセクションでもう少し言及します。
ニュージーランドに関して漠然としたイメージを持っている方々はオークランド
が首都であると思われる傾向にあります。確かに、オークランドは最も人口が多
く、かつGDPの大部分を生み出す最大の都市ですが実際は、そう、ウェリントン
が政治上の首都なのです。その他、皆さんがご存知であろう主要都市はハミルト
ン、タウランガ、クライストチャーチそしてダニーデンといったところでしょう
か。以下チャートを見ていただければ主要センターがGDPの生産高を大きく左右
する事がわかりますね。
国際関係
ニュージーランド経済は、国際貿易が大部分を占める市場経済と言えるでしょう。
オーストラリアとの関係は密接で、1983年には豪州ニュージーランド経済関係緊
密化協定が発効されました。以来、豪州は、2013年に中国にその地位を譲るまで
はニュージーランドにとって最大の貿易相手国となりました。また日本、韓国、
米国そして欧州連合も主要な貿易相手国として挙げられます。
輸出入
主要輸出品目は農産物や酪農品等のソフトコモディティの傾向にあります。
ニュージーランドの乳業を代表する組織であるフォンテラ(NZE:FCG)は、世界
の乳製品貿易の約30%を占める存在であり、輸出額も25%を占める国内最大の組
織です。乳製品国際価格の指標とされるグローバルデイリートレード価格
(GDT)は前年度比で42%低い状況にありますが、直近のオークションでは価格
が2桁で回復しており、その価格動向には常に注目しておかなければなりません。
翻訳/吉中晋吾