<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は再び135円台に乗せ、135円23銭まで上昇。1月のPMIを受け、米株式と債券が大きく売られ、長期金利が上昇したことでドルが買われた。ドル円は先週末に付けた年初来高値を更新。
ユーロドルは売られたが、依然として底堅い動き。対円では144円16銭近辺までユーロ高が進む。
株式市場は大幅に下落。ダウは700ドルに迫る下げを見せ、S&P500も81ポイント下げ、4000の大台を割り込む。
債券は反落。長期金利は大きく上昇し、3.95%台で引ける。
金と原油は揃って続落。
2月S&Pグローバル製造業PMI(速報値) → 47.8
2月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値) → 50.5
2月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 50.2
1月中古住宅販売件数 → 400.0万件
ドル/円 134.69 ~ 135.23
ユーロ/ドル 1.0637 ~ 1.0698
ユーロ/円 143.54 ~ 144.16
NYダウ -697.10 → 33,129.50ドル
GOLD -7.70 → 1,842.50ドル
WTI -0.18 → 76.16ドル
米10年国債 +0.138 → 3.953%
【本日の注目イベント】
独 1月消費者物価指数(改定値)
独 2月ifo景況感指数
米 FOMC議事録(1月31日-2月1日分)
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
昨日は一時134円台を割り込んだドル円は再び135円台に乗せ、135円23銭までドル高が進みました。先週記録した年初来高値である135円12銭をわずかですが上回るドル高です。好調な経済指標を徐々に織り込む形で、ウォール街では米金融当局のインフレとの闘いは終了からほど遠いといった見方が強まり、楽観的だった株式投資家もここにきてさすがに売りを強めています。NYダウは700ドルに迫る下げを記録し、株式市場はほぼ全面安です。昨日発表された1月のPMIは「製造業、サービス業、コンポジット」の全てで予想を上回っていました。このためFRBは、3月会合だけでなく、5月と6月の会合でも0.25ポイントの利上げを行うと予想する声が徐々に増えてきたことから債券も売られています。長期金利は一時3.95%台まで上昇し、昨年10月以来約4カ月ぶりの高水準を付けています。これが、米金利との相関が強いドル円が上昇する一因になっています。
ウクライナへの侵攻で米ロ関係が一段と冷え込み、さらに気球撃墜問題で米中関係も悪化し、世界の「民主主義と覇権主義」の対立は、かつて見られなかった程高まっています。加えて、北朝鮮は米韓軍事演習への反発からか、昨年からミサイルの発射を続け、日米韓をけん制しており、第二次大戦以降、最も緊張が高まっているように感じます。ポーランドを訪問中のバイデン大統領は首都ワルシャワで講演を行い、「ウクライナがロシアの勝利になることは決してない」と強調し、「プーチン大統領がこの戦争に勝利することは断じてない」と断言しました。また米国と同盟国が今週、新たな対ロ制裁を発表するとも述べましたが、具体的な内容には言及していません。原油など、多くのエネルギーを国内で賄えるロシアでは、昨年春から始まった欧米による「経済制裁」にも、それほど追い詰められた状況は見られないようです。そのような状況もあり、ロシアのプーチン氏は昨日の年次教書演説でも終始強気の言葉を発していました。
プーチン氏はロシア議会で演説を行い、「ロシアは歴史的な土地のため、ウクライナで戦っている」と述べ、「戦争を始めたのは西側諸国で、ロシアはそれを止めるために武力を行使している」と話し、戦争を正当化することに必死でした。「ロシアが戦場で敗北することはあり得ない」と述べ、ロシアと米国の新戦略兵器削減条約(新START)についても、「米国とNATO諸国がロシアを戦略的に敗北させ、新STARTに基づき査察を要求することでロシアの核施設に潜り込もうとしている。こうした要求はばかげている」と一蹴し、(新STATについて)「参加を停止する」と述べ、戦争を継続する意志を表明しました。一方今朝の報道では、習近平中国国家主席は数カ月以内にモスクワを訪問し、プーチン氏と会談する準備を進めているとウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が伝えています。ロシアへの新たな武器供与を巡る会談なのか、あるいは和平交渉を働きかける会談になるのか、現時点では分かっていません。(ブルームバーグ)
次期日銀総裁候補として政府が示した植田元審議委員への「所信聴取」と質疑は27日(月)午後に行われるようです。また副総裁候補の内田、氷見野両氏についても翌28日(火)に行われる予定です。植田氏についてはすでに多くのテレビ、新聞等でその人となりが報道されています。やれ酒豪だとか銀座が好きだとありますが、政策では、市場の混乱を避けることを優先すると思われ、市場との丁寧な対話を繰り返しながら徐々に政策修正を行う、「バランスの取れた政策運営を行うだろう」というのが、市場のコンセンサスです。他の国の中銀総裁経験者との人脈も豊富とのことから、今後はFRBやECBなど、主要中銀の政策の影響も受けやすくなるのではないかと思われます。その意味では、再び利上げが継続されるとの観測が強まっているFRBが、今後も3会合連続で利上げをするようだと、日銀が利上げを行うタイミングも早まる可能性があるかもしれません。
本日のドル円は134円~136円程度を予想します。