<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は米中の緊張緩和期待と良好な経済指標を受け109円25銭まで上昇。先週記録した水準には届かなかったものの、108円台を固める動きに。
ユーロドルは続落。米長期金利の上昇からドルが買われたことで、1.1064まで売られ、約3週間ぶりの安値に。
株式市場は前日に続き3指数とも揃って最高値を更新する場面もあったが、結局S&P500はマイナスに沈む。ダウは30ドル上昇し、連日で最高値を更新。
債券相場は続落。長期金利は9月以来となる1.85%台へと急上昇。
リスクオンの流れから金は27ドル安と、1500ドルの大台を大きく割り込む。原油は続伸し57ドル台に。
【本日の注目イベント】
日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(9月18日、19日分)
独 10月サービス業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏10月総合PMI(改定値)
欧 ユーロ圏10月サービス業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏9月小売売上高
米 エバンス・シカゴ連銀総裁講演
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁講演
米 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
ドル円は先週に引き続き、再び109円台を回復してきました。昨日の日経平均株価は400円を超える上昇を見せ、約1年1カ月ぶりに2万3000円の大台を回復しています。欧米などの株式市場に比べ明らかに出遅れていましたが、10月に入ってからはドル円が108円台で安定してきたことや、米国株が一段と上昇したことで、海外資金の流入から日本株が上昇しています。もっとも、当社グループの株式運用責任者に言わせると、個人投資家は利益確定の売りに回っているとのことです。日本の個人投資家が売っているのを海外勢が買っているといった構図になって
いるようです。
昨日のNY市場でドル円は、米長期金利が約2カ月ぶりに1.85%台まで急騰したことを受けて109円25銭まで買われました。10月のISM非製造業景況指数が「54.7」と、前月を上回っただけではなく、市場予想の「53.3」をも上回り、サービス業の拡大が示されました。雇用や受注、景況などの指数が改善し、米経済の最大部分を占めるサービス業が安定的に拡大している状況が示唆されていると理解できます。さらに米政府が9月に導入済みの中国に対する制裁関税の一部を撤回するとの報道も、リスクオンを加速させ、ドル円を押し上げました。金の大幅下落はその象徴とも言える動きです。
先週のFOMCでは、市場予想通り政策金利を25ベーシス引き下げたものの、その後のパウエル議長の発言では「金利引き下げは一旦打ち止め」とのニュアンスを残しました。これに関連してダラス連銀のカプラン総裁は「1.5-1.75%のフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジは、恐らく妥当な水準だ」と述べ、リッチモンド連銀のバーキン総裁は「貿易政策を起因とする不確実性や世界経済の成長減速から国内経済を守るため、米金融当局は金利を引き下げたが、一旦(利下げを)休止する良い時期と考えている」と語り、3会合連続で金利引き下げを行ったその効果を見極める必要があるとの見方を示しています。米中通商協議の先行きに若干明るさも見えてはきましたが、まだ予断は許しません。トランプ大統領のたった一つのツイートで、株価の急落と円高が急速に進むリスクは常に意識しておかなければなりません。昨日の経済指標では、今後利下げを継続する根拠は見当たらず、年内は12月に今年最後のFOMCがありますが、足元の株価と経済指標が示す限り、追加利下げの可能性はかなり低いと考えられます。
ドル円は再度109円台を回復してきました。先週の109円台乗せではその後直ぐに108円台に押し戻され、さらに翌日には107円台後半まで円高が進みましたが、今回は本稿執筆時点でも109円台を維持しており、多くの為替関係者が指摘していた、重要なレジスタンスポイントである「200日移動平均線」を上抜けした形になっています。108円台を固めたと見られますが、一方でこの上方には「週足」の「52週移動平均線」もあり、簡単にすいすい上昇するセンチメントでもないと思われます。ここは従来通り、こまめに利益を確定していくべきでしょう。本日の予想レンジは108円70銭~109円50銭程度と見ています。
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