<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
東京市場で109円台半ばまで売られたドル円は反発し110円台を回復。長期金利が低下し、株価も大幅に下落した中で、ドルの底堅さが目立った。
ユーロドルは、ドラギECB総裁が利上げを急がないことに言及したことで売り優勢に。1.1534までユーロ安が進んだが、節目の1.15は堅持。
株式市場は大幅続落。米中の貿易問題がさらにエスカレートし、貿易戦争の様相を呈してきたことでダウは一時419ドル安まで売られた。引け値では287ドル安と、下げ幅を縮小。
米中貿易摩擦の激化で安全資産の債券は買われる。長期金利は先月末以来となる2.9%台割れを示現。
金と原油は反落。
5月住宅着工件数 → 135.0万件
5月建設許可件数 → 130.1万件
ドル/円109.71 ~ 110.10
ユーロ/ドル1.1534 ~ 1.1594
ユーロ/円 126.70 ~ 127.61
NYダウ -287.26 → 24,700.21ドル
GOLD -1.51 →1,278.60ドル
WTI ―0.78 → 65.07ドル
米10年国債 -0.020 → 2.897%
【本日の注目イベント】
日 日銀金融政策決定会合、議事要旨(4月26日、27日分)
独 独5月生産者物価指数
欧 ドラギ・ECB総裁、パウエルFRB議長がパネル討論会に参加(ポルトガル)
米 5月中古住宅販売件数
昨日の東京時間朝方に、トランプ大統領が中国に対する制裁措置を拡大し、さらに2000億ドル(約22兆円)分の中国製品に10%の追加関税を課すことを指示したとの報道で、リスク回避の流れが加速し、ドル円は110円台半ばから急落し、日経平均株価は下げ幅を拡大しました。
さらにリスク回避の動きが強まったのは、中国が予想していたかのようにすぐさま報復措置を表明したことです。中国商務省は19日午前の声明で、米国が2000億ドル相当の新たな関税リストを公表すれば、「強力な」報復措置を取るだろうと表明。「米国が正気を失い、そのようなリストを公表すれば、中国は包括的な量的・質的措置を講じ、強力に報復せざるを得ないだろう」(ブルームバーグ)と発表しました。
これまで中国は、トランプ政権の保護貿易主義に対して、ある意味「大人の対応」を示してきましたが、ここにきて急速に態度を硬化させ、「目には目を」といった対応が目だっています。このまま「報復合戦」が続けば、日本を含め世界景気にも悪影響が出るのは必至です。2000億ドル相当の関税引き上げは「脅し」であって、現実的ではありませんが、その先に自動車関税の引き上げ問題もあるということです。少なくとも11月の中間選挙までは「トランプリスク」が取り除かれることはないと考えられます。
昨日のNY市場ではリスク回避の動きが加速し、ダウは一時419ドル下げ、長期金利も先月末以来となる2.9%台を割り込んでいます。本来なら安全通貨の円が買われ、円高ドル安に振れていてもおかしくはなかったと思われます。経験則から言えば、109円を割り込んでいるイメージでした。ドル高円安が進んだ理由は、おそらくユーロの影響だったと思われます。
ドラギECB総裁はスペインで行われた年次フォーラムでの講演で、「初回利上げ時期の決定について辛抱強い姿勢を維持し、その後の政策調整は段階的に行う」と語り、少なくとも現行の政策金利据え置きは、2019年夏の終わりまで続くことを改めて表明しました。この発言を受け、ユーロドルは再び重要なサポートである1.15に迫る、1.1534まで売られ、ユーロ円も先月末以来となる126円台後半までユーロ安が進みました。
本日のドル円は109円50銭~110円50銭を予想しますが、相場の主役であるユーロドルの動きには注目です。