日本 – 2015年上半期
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概要
- 近頃の円安にもかかわらず、日本企業による海外企業へのM&Aの案件 数は衰えを見せていない。日本企業が既存事業で蓄えた資金にはまだ 余裕があることに加え、国内の貸し手から買収資金を調達するのもか つてないほど容易になっている。
- 日本企業は引き続き海外成長に着目したため、上半期のアウトバウ ンドM&Aの取引総額はここ3年の最高値に達し、既に2014年の年計 (533億USドル)より5.6%高くなった。半年分だけでも、既に過去3 番目の年間上昇率を示している。
- 業種別では、ファイナンシャルサービス業界がアウトバウンド活動で 最も盛んなセクターとなり、取引総額全体の29.6%を占めた。そのう ち、15案件の取引総額は167億USドルで、2014年の全体取引金額のお よそ1.7倍となった。金額が上昇した理由は米国企業をターゲットとし た2つの大型案件が発生したためだ。最大案件である東京海上ホールデ ィングスによるHCCインシュアランス・ホールディングスの買収(金 額75億USドル)と、みずほ銀行によるロイヤルバンク・オブ・スコッ トランドの北米ローンポートフォリオの買収(金額35億USドル)をは じめ、米国は日本企業の最大の投資先となった。
- 輸送セクターはアウトバウンド活動において、今年飛躍的な成長を見 せている。7案件が発生して、総額は96億USドルとなった。 これは、 第1四半期の二番目の大型案件であり、同時にアウトバウンド案件とし て歴代10位の規模となった、日本郵便による豪総合物流会社トール・ ホールディングス買収(取引金額63億USドル)があったためだ。これ により(今期の取引額は)過去7年の取引総額を上回った。
- 日本経済は継続的に緩やかな回復を見せているが、日本企業は国外の マーケットに目を向けているが、日本のM&A活動は上半期において依 然低下している。 他のアジア太平洋地域諸国におけるM&Aは急激に 増加し、上半期として最高値を更新しているのに対し、日本はより低 い数値を記録しており、上半期において200件の発表の中2番目に低 く、2014年の上半期より15.8%低い143億USドル となった。
- 海外企業の買い手は望むほどの堅実な成長を見せていない日本企業を 未だに避けている。インバウンドM&Aは著しく低下し 16億USドルと なった。昨年上半期の総計金額34億USドルより52.8%減少した上、案 件数も14件少なかった。マージャーマーケット・インテリジェンスに よると、海外の投資家は日本企業に対して強い興味を持っているが、 ほとんどの取引が交渉の段階にあり、実現に は時間がかかる。
- 日本のM&A活動、特に海外への投資の活発化 は、複数の要因が重なることで実現すると考 えられる。国内経済の継続的改善、事業の回 復、円安と高い株価による企業の資本支出の 増加、更なる消費税増税と低い石油価格の継 続といった要因が揃えば、日本のM&A活動は 回復するだろう。
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