NY外国為替市場で、ドル円はポンド中心に欧州通貨絡みの取引が中心となったため、しばらく方向感が出なかった。
ただ、一時は210ドル超上昇したダウ平均が失速し350ドル超下落すると、リスク回避的な円買い・ドル売りが優勢に。米長期金利の低下に伴う売りも出て一時113.30円と日通し安値を付けた。
しかし「EU離脱協定の暫定合意案が英閣議で了承」と伝わると、株価の下げ渋りとともにドル円にも買い戻しが入り下げ幅を縮めた。
ポンドドルは英国のEU離脱協定に関する原案を協議する臨時閣議が開かれるなか、乱高下した。「閣議ではメイ首相の離脱案が賛成多数となる」との期待からポンド買いが先行し、一時1.3030ドルまで値を上げた。
だが、閣議後に予定されていたメイ首相の声明発表が取りやめになったと伝わると、一転下落。「英与党・保守党のEU離脱推進派が15日にもメイ首相の不信任投票を呼び掛ける可能性」との一部報道もポンド売りを誘い、1.2882ドルの本日安値まで下げた。
もっとも、メイ英首相が閣議終了後に声明を発表し、「英・EU離脱協定案は閣僚の了承を得られた」と明らかにすると、最終合意への期待が高まりポンド買い戻しが強まった。5時30分前には一時1.3072ドルの本日高値まで急伸している。
ユーロドルはイタリアの予算案をめぐるEUとの対立や予想を下回る7−9月期独国内総生産(GDP)速報値などを受けて一時1.1263ドルと日通し安値を付けたものの、そのあとは底堅く推移した。
10月米消費者物価指数(CPI)は予想通りの結果となったが、エネルギーと食品を除くコア指数が前年比で予想を下回ったためユーロ買い・ドル売りが入った。米長期金利の低下に伴う買いも入り一時1.1348ドルまで上値を伸ばした。
ポンドドルが失速するとユーロドルもつれ安して1.12ドル台後半まで下げたものの、下押しは限定的だった。ブレグジット交渉の進展を好感してポンドドルが再び上昇したため、ユーロドルにも買い戻しが入った。
本日の東京市場のドル円もレンジ内での動きか。市場の目は欧州の政治や経済指標に集まっている。昨日は日本の経済指標の発表があったものの、市場は無反応だった。欧州通貨は昨日もボラタイルに動いているが、ドル円はこう着してしまっているため、市場参加者でドル円に手を出しているのは本邦勢のみに近い。
本邦勢も実需を中心に「上がったら売り、下がったら買い」の姿勢を崩さないだろう。
上値は今月8日から毎日114円台に乗せるものの114円台を維持することができていない。一方、下値も昨日は113.30円まで下落したが大きく崩れる材料も不足していることで、113円半ばを中心としたレンジ取引に終始しそう。
本日も日経平均の動きや米中の通商協議に関する要人の発言を意識しながらのトレードとなりそうだ。また、ゴトー日(5・10日)ということもあり東京仲値の動きには気をつけたい。
欧州通貨は乱高下している。特にポンドはピンボールのように上下しているが、ブレグジットに関する草案承認はいまだ余談を許さない状況に変わりはない。特に英国内の承認を得るのが難しいため、今後の進展は簡単ではなさそうだ。
東京時間には新たな発言は時間帯上出にくいだろうが、英大手新聞の観測記事などが新規配信される時間には警戒が必要だろう。
アジア時間で流れる経済指標は、10月の豪雇用統計に注目が集まる。9月雇用統計では失業率は市場予想の5.3%に対し、5.0%と良好な結果となった。隣国NZの失業率も予想より改善していたこともあり、好結果が出た場合はオセアニア通貨全体が買い上げられる可能性が高い。

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