NYタイムのドル円は、米10年債利回りが2.932%まで上昇したものの米株が弱含んだことで107円前半での小動きに終始した。ユーロドルは1.2329ドルまで弱含み、ポンドドルはカーニーBOE総裁が「ブレグジットが利上げを遅らせる可能性もある」と発言したことで1.4069ドルまで下落した。
本日の東京市場のドル円は、日米首脳会談で合意された新たな日米通商協議への警戒感から伸び悩む展開を予想する。
本日からのG20財務相・中央銀行総裁会議では、トランプ米政権の保護貿易主義への懸念が示されることが予想されるものの、アメリカ第一主義の独自路線を歩むトランプ米政権の政策への影響はないと思われる。
日米首脳会談では、日米貿易不均衡の是正に向けた通商協議が、ペンス米副大統領と麻生財務相による「日米経済対話」から、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と茂木経済財政相による「自由で公正かつ相互的な貿易取引のための協議」(仮称)へ移されることになった。トランプ米政権は、日本をアルミニウム・鉄鋼の輸入関税対象国にしたままで、環太平洋連携協定(TPP)への復帰の可能性を残しつつ、為替条項付きの日米自由貿易協定(FTA)の締結を目論んでいると思われる。
先週13日に公表された米為替報告書では、従来までの「実質実効レート」に加えて、2013年以降のドル円の「名目レート」でも円安と言及されたことも懸念材料となる。すなわち、アベノミクスの「3本の矢」の内の1本である黒田日銀総裁による異次元の量的金融緩和を受けた90円を起点とする円安相場が通商協議の俎上に上がったことになる。
ドル円の下値は、25日満期の大口の107.00円のNYカットオプションが下支えし、上値は107円後半の断続的なドル売りオーダーが抑えることが予想される。
ドル売りオーダーは、現時点では、107.70-8.00円、108.20円、ドル買いオーダーは、106.80円、106.60円、106.00円に観測されている。
ユーロドルは、欧州中央銀行(ECB)の年内の金融政策正常化観測や来月のECB理事会でのフォワードガイダンスのタカ派変更観測、イランの取引通貨のドルからユーロへの転換報道を受けて底堅い展開が予想されるものの、欧露の対立緊迫化、ユーロ圏のインフレ鈍化、イタリアでの反EU政権の樹立懸念などから上値は限定的か。

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