<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ややもみ合い色を強めているドル円は、新しい日銀正副総裁人事が
衆院で可決され、株価が上昇を強めたことで96円台前半で海外を迎えた。
海外市場でもこの流れが続き、さらにNYでは雇用指標が好調だったことで、
96円60銭までドル高に振れたが、ユーロが強含んだことにつられ95円台まで
反落し、96円台に乗せて引ける。
ユーロドルは反発。一時1.29台前半まで売られた後、利益確定の買い戻しに
1.30台を回復。
株式市場は続伸。ダウはこの日も83ドル上げ、10日連続で上昇。
引け値も1万4500ドル台まで伸ばす。
債券は反落。株価の上昇を受け前日反発したものの続かず。
新規失業保険申請件数が前の週に比べ1万件減少したことが手掛かり。
金、原油は反発。
新規失業保険申請件数 → 33.2万10-12月経常収支 → -1104億ドル
2月生産者物価指数 → +0.7%
ドル/円95.68 ~ 96.60
ユーロ/ドル1.2911 ~ 1.3033
ユーロ/円124.51 ~ 124.99
NYダウ+83.86 → 14,539.14ドル
GOLD+2.30 → 1,590.70ドル
WTI+0.51 → 93.03ドル
米10年国債+0.014 → 2.037%
本日の注目イベント
欧 ユーロ圏2月消費者物価指数(改定値)
欧 イタリア、新議会招集
欧 レーン・欧州委員講演
欧 ファンロンパイ・EU大統領講演
米 3月NY連銀製造業景況指数
米 2月消費者物価指数
米 2月鉱工業生産
米 3月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)
米 フィッシャー・ダラス連銀総裁講演
昨日もドル円は、1日の値幅がちょうど1円ほどありました。
中長期的なトレンドは変わっていないものの、短期的にはもみ合いが続き「トレンドレス」です。
衆議院では新しい正副日銀総裁人事が承認され、この結果を受け昨日の東京株式市場は後場に上げ幅を拡大しました。
それでもドル円は96円前後で推移し、あまり反応は見せませんでしたが、欧州市場に入るとやはり「株高」と
「追加緩和期待」からドルが買われ、円が売られました。
NY市場では新規失業申請件数が前の週より1万件ほど減少していたことを受け、ドルがさらに買われ、
96円60銭まで上昇しました。
ここまで来ると「97円台乗せは近い」と考えていましたが、その後は再び円に買い戻しが入り95円台半ばまで
ドルが下落し「行って来い」の展開になっています。
正直ドル高値から、大きな材料がない中1円の下落は理解に苦しむところです。
ドルロングのポジションを抱えている人は「上値も重い」と感じており、ドルショートで待っている人は
「ドルは下がらない」と感じていることと思います。
実際、95円台半ばから96円台半ばのレンジが続いており、上抜けの可能性の方が高いと予想してはいますが、
円も「粘り腰」を見せている状況です。
昨日発表された新規失業保険申請件数は33.2万件と、2008年6月以来となる低水準でした。
注目されるのは、より変動の少ない「4週移動平均」でも34万6750件と、こちらも2008年3月以来の
水準だったことです。
米2月の失業率は7.7%と、依然高水準でしたが、足元では着実に雇用の改善が進んでいることが確認されたと
言えます。
ブルームバーグの記事でも「解雇者数はかなり少なくなってきた。労働市場は回復しなければならない分野が
まだ多いものの、引き続き回復モードにある」と伝えています。
本日は参議院で上記日銀正副総裁人事が承認される見通しです。
そして来週20日には新体制がスタートすることになります。
「できることは何でもやる」「2年以内に2%の物価目標は達成できる」など、黒田総裁候補などは
不退転の意思を見せており、新体制への期待も膨らみます。
来週にはいよいよ「臨時会合」を招集するのかどうかに注目が集まりますが、この欄でも再三述べているように
「サプライズ」が期待できると予想しています。
また、安倍晋三首相は本日正式にTPP交渉への参加を表明する予定です。
TPPへの参加は農業などへの影響はかなり大きいと見られていますが一方で、その効果は農業部門への
マイナス効果を入れてもGDPは3.2兆円拡大する、との試算も発表されました。
「成長戦略」には欠かせない案件として、TPPへの参加は円安材料と捉えることができますが、すでに市場には
織り込まれている可能性もあります。
NY市場ではNY連銀製造業景況指数や鉱工業生産が発表されることから、市場予想を上回るようであれば再び
「ドル買い円売り」材料になりますが、それでも上記レンジの上限を抜けないようだと、上値の重さが意識され
一旦は下落に転じるかもしれません。
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