<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は一段と上昇し、2009年10月以来となる95円台を示現。失業保険申請件数が予想以上に減少するなど、雇用に関する好調な指標に加え、株高、債券安が進み、ドル円は節目の95円台まで上昇。
ECBは理事会で政策金利据え置きを決め、会見でドラギ総裁が年後半のユーロ圏景気回復見通しに言及したことでユーロが急反発。ユーロドルは1.29台後半から1.31台まで反発。
株価は続伸。NYダウは3日連続で史上最高値を更新。
債券相場は軟調な展開。米経済指標の改善と堅調な株価に押されて価格は下落。10年債利回りは2%目前まで上昇。
金、原油は上昇。
新規失業保険申請件数 → 34.0万件
1月貿易収支 → -444億ドル
1月消費者信用残高 → +161.5億ドル
ドル/円94.43 ~ 95.10
ユーロ/ドル1.2987 ~ 1.3119
ユーロ/円122.72 ~ 124.57
NYダウ+33.25 → 14,329.49ドル
GOLD+0.20 → 1,575.10ドル
WTI+1.13 → 91.56ドル
米10年国債+0.051→ 1.995%
【本日の注目イベント】
日 10-12月GDP(第2次速報)
日 1月国際収支
日 2月景気ウォッチャー調査
中 中国2月貿易収支
独 独1月鉱工業生産
米 2月雇用統計
加 カナダ2月失業率
昨日のコメントで、ドル円は「4度目の正直で94円台半ばから95円を試すことが出きるか?」と書きました。またあるとすればそれは、東京時間ではなく、海外市場での可能性についても触れました。ドル円は昨日のNY市場でついに95円台を記録し、2009年8月以来の円安水準を付けています。2月25日にはイタリア総選挙の見通しを受け、ドル円は一時90円85銭まで下落し、円の買い戻しが徐々に増えるのではないかとの観測もありました。しかし、このレポートでは一貫して「ドル高円安の流れは変わっていない」と述べてきました。それは「日足」チャートを見れば歴然としており、崩れる気配はなかったからです。少なくとも「一目均衡表」では「転換線」と「基準線」が昨年10月に好転を見せてからは一度も崩れていません。
また「先行スパン1.2」に挟まれる「雲」についても同様で、同時期にローソク足が雲を上抜けしてからは短期的な「1時間足」では相場の動きが上下に振れ、「売りサイン」や「買いサイン」が頻繁に出てきますが、それだけで判断していたのでは大きな流れを見失うことにもなります。いわゆる「木を見て森を見ず」状態に陥ってしまいます。今回の「ドル高円安」の流れは「非常に強いトレンドを形成していた」ということです。やはり、週に1、2回は長めの「日足」あるいは「週足」なども確認する習慣を身につけることが重要です。
ドル円はNY市場で95円10銭まで上昇し、94円台後半で取引を終えています。94円台半ばから95円にかけてあったとみられる大量のドル売りオーダーを飲み見込む形で上昇し、わずかですが95円台乗せを実現させました。NYでの取引は94円台後半で終えていますが、一度95円を達成したドル円がこの後どのような展開を見せるか興味がわきます。95円台に完全に乗せ、定着するようだと、テクニカル的には97円台程度まで重要なレジスタンスは見られません。95円前後は2010年5月に記録した94円99銭という高値近辺であることから、このまま下落してしまえば大きな意味では「ダブルトップ」ということにもなります。その点からすると、95円という極めて重要な節目を記録したことで、今後は95円台が定着するかどうかが注目されます。「達成感」から今後徐々に下落に向かうといった見方もできなくはありませんが、米景気の回復基調が鮮明であることや、3月20日からの日銀の新しい正副総裁に対する期待感などから、目先大きな調整は考えにくいと思われます。ただ、国内では安倍晋三内閣の次の重要課題である「成長戦略」の具体的な内容や、TPP交渉の詰めなどでは、さらに円が大きく下落する材料には乏しい気がします。本日発表される1月の経常収支では大幅な「経常赤字」も見込まれることから、発表後にどこまで円売りが進むのかにも注目が集まりますが、円が一段と売られる材料があるとすればやはり海外市場に依存することになりそうです。もちろん、その海外市場にはイタリアの政局の行方や米国の歳出削減問題など、「円が買われる」材料があることも留意する必要があります。
95円台を示現したことで、ドル円は新しいステージに入ったとも考えられますが、今日あたりの専門家のコメントには「ドル円は100円を目指す」といった見方も出てきそうです。NY市場がけん引する形で、世界的な株高から「リスクオン」の流れが加速しています。ドル円にとっても「追い風」の外部環境が続きそうですが、個人的には安倍政権の具体的な成長戦略が見えてこない限り100円までの円安はそれほど簡単ではないと考えています。