<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は米中貿易協議に新たな進展があるとの観測に続伸。106円台を回復し、106円68銭までドルが買われる。
ユーロドルでもドル高が進んだが、1.1042止まり。ラガルド次期ECB総裁発言にも反応薄。
株式市場は大幅に続伸。米中協議に期待が高まり、ダウは326ドル上昇し、昨日の上昇と合わせ週初の大幅下落分を埋める。
債券相場は続落。長期金利は一時1.50%台を回復。
金は続落。原油は3日続伸。
新規失業保険申請件数 → 21.5万件
4-6月GDP(改定値) → 2.0%
7月中古住宅販売件数成約指数 → -2.5%
ドル/円 106.19 ~ 106.68
ユーロ/ドル 1.1042 ~ 1.1093
ユーロ/円 117.50 ~ 117.90
NYダウ +326.15 → 26,362.25ドル
GOLD -12.20 → 1,536.90ドル
WTI +0.93 → 56.71ドル
米10年国債 +0.015 → 1.495%
【本日の注目イベント】
豪 7月住宅建設許可件数
日 7月失業率
日 8月東京都区部消費者物価指数
日 7月鉱工業生産
独 7月小売売上高
欧 ユーロ圏8月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏7月失業率
米 7月個人所得
米 7月個人支出
米 7月PCEコアデフレータ
米 8月シカゴ購買部協会景気指数
米 8月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
加 カナダ4-6月期GDP
ドル円は106円台を回復し、NY市場では一時106円68銭までドル高が進み、先週末のジャクソンホールでのパウエル議長の講演を待っている水準までドルが買い戻されています。
今週はトランプ大統領の発言に右往左往させられてきましたが、昨日のドル上昇も結局はトランプ氏の発言が材料になりました。
トランプ氏は29日、FOXニュースのインタビューで、9月の米中協議は実現するのかとの質問に、「異なるレベルでの協議が今日、予定されている」と述べました。詳細は示していませんが、これに先立って中国商務省の報道官は、トランプ氏が先週発表した対中制裁関税の税率引き上げに対して、報復措置を今のところ取らないと示唆し、貿易戦争のさらなるエスカレートを防ぐために新たな関税を取り除くことに注力したいとの考えを示していました。(ブルームバーグ)米中双方の関税発動は9月1日と、残された時間は多くありません。最後の最後に関税発動回避という劇的なシーンもあるかもしれませんが、一方でトランプ氏は簡単には妥協しそうもありません。トランプ氏からは、「中国は米国を食い物にしてきた。彼らは取引をしたいのだと思う」などの発言もあり、どちらに転ぶかは全く分かりません。
11月にECB総裁に就任するラガルド氏は29日、欧州議会からの質問に答える形で、自身の金融政策に対する考えを示しました。ラガルド氏は、ユーロ圏経済は下振れリスクに直面し、インフレ率も低い難しい状況にあると認め、「予見可能な将来において、極めて緩和的な金融政策を続ける必要があることは明らかだ」と主張し、「導入する措置の適切な組み合わせは、インフレ見通しに影響する衝撃の性質や金融市場の状況次第ということになる」と述べ、ややハト派的なスタンスであることを示しています。市場では、9月のECB理事会ではかなり明確な緩和姿勢を示すと見られ、場合によっては量的緩和(QE)策の再出動にも言及してくる可能性があると見られています。一方で、ECBの政策委員会メンバーである、オランダ中銀のクノット総裁は「QE再会を正当化できるほどユーロ圏経済は弱くはない」との認識を示しています。(ブルームバーグ)ここはラガルド次期総裁のお手並み拝見といったところでしょう。
ドル円は105円台では底堅い動きを見せてはいますが、今月に入ってからは106円70-80銭を2度試し、押し戻されていることから、この水準から107円が目先の「抵抗帯」と見られます。今後仮にドルが上昇するにしても、まずはこの水準を突破する必要があり、もし抜けたとしたら、約1カ月ぶりのこととなります。米長期金利の水準からすれば、依然としてドルの上昇には限界があると予想していますが、余り固定観念で相場を見るのは避けるべきです。トランプ氏の「ツイート」一つで相場が大きく上下する状況は変わっていません。本日のドル円は106円~106円90銭程度を予想しますが、上述のように、9月1日に迫った関税発動がどのようなことになるのかで、上へも下へも抜けることがあり得ることは意識しておきたいと思います。
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