<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は昨日の東京時間に113円99銭まで上昇したがその後失速。NYではダウが2万ドルの大台を突破し、長期金利も上昇したにも関わらず、113円台前半までドルが売られ伸び悩む。
ユーロドルは1.07台半ばを中心にもみ合い。上値は限られるものの下値も徐々に切り上がる。
NYダウはついに2万ドルの大台を突破。経済成長への楽観的な見方が強まり、企業業績も支えに。ダウは155ドル上昇し、2万68ドルで取引を終える。
債券相場は続落。ダウが2万ドルの大台を達成したこともあり、債券には売りが集まる。長期金利は昨年12月以来となる2.51%台まで上昇。
金は続落し、原油は小幅ながら反落。
11月FHFA住宅価格指数 → +0.5%
ドル/円113.18 ~ 113.94
ユーロ/ドル1.0720 ~ 1.0755
ユーロ/円121.69 ~ 122.22
NYダウ +155.80 → 20,068.51ドル
GOLD -13.00 →1,197.80ドル
WTI -0.43 → 52.75ドル
米10年国債 +0.048 → 2.518%
【本日の注目イベント】
中 中国 12月工業利益
英 英10-12月期GDP(速報値)
米 12月新築住宅販売件数
米 新規失業保険申請件数
米 12月景気先行指標総合指数
米 企業決算 →ブラックストーン、キャタピラー、アルファベット、インテル、マイクロソフト
NYダウはついに2万ドルの大台を達成しました。個人的には昨年末にも達成するのではないかと思っていましたが、時間はかかったものの、ようやく大台達成です。トランプ大統領はツイッターで、「Great ! Daw20K」とつぶやいていました。1万ドルの大台を達成したのが2009年11月でしたから、約6年で倍になったわけです。改めて米国企業の底力と、成長力に敬服します。
株価が大幅に上昇し、債券市場では安全資産の債券が売られ金利が上昇し、金も売られたことで「リスクオン」が強まった環境でしたが、ドル円の上昇は限定的でした。114円には届かず、113円台前半で戻ってきました。トランプ大統領がいつドル高をけん制するかもしれないという警戒感が、ドルの上値を抑えているかと見られます。米長期金利が2.5%台に乗せ、直近のドル円は金利との相関度を強めていることを考えると114円台に乗せてもおかしくはなかったと思われます。「為替市場では既にトランプラリーは終わった」という声がNY市場からは
聞こえています。
本日もトランプ大統領を避けては通れません。大統領はメキシコ国境に壁を建設するとともに、米国への移民流入規制を強化する大統領令に署名しました。(ブルームバーグ)これらは選挙運動中から述べていましたが、まさか本気で壁建設を推進するとは誰も思ってはいなかったのではないでしょうか。どうやら本気のようです。トランプ大統領は昨日の午後に国土安全保障省を訪問して署名を行いましたが、同省は国境を管轄し、トランプ氏が求める移民規制の多くを実施する主要な権限を持っているそうです。
ドル円は113円台でのもみ合いが続いていますが、これは今年に入っては珍しい現象です。112円台半ばを3回テストして跳ね返されているため、目先この水準は底堅いことが確認されていますが、一方で115円から上値が徐々に重くなりつつあります。上述のトランプ大統領の奇抜な行動もドルの上値を抑えていることと無関係ではありません。トランプ氏が一言ドル高けん制をすれば2円ほど円高に振れることは実証済みです。ただそれでも米金利が上昇し、株価が堅調に推移する以上、どちらもインフレを加速させることになり、FRBの利上げ観測につながります。
そう考えると、ドル円が下げたとしても一気に110円を割り込むような水準には至らないと予想しています。怖いのは、トランプ大統領がさらに保護主義色を強め、株式市場にも悪影響が
出て、「リスクオフ」から金利が低下する事態です。この辺りは今後もしっかりと目を凝らしていかなければなりません。
本日はNYダウの2万ドル突破を好感して、日経平均株価も上昇するでしょう。予想レンジは112円70銭~114円程度と見ています。114円が壁になりつつありますが、ここが抜けないとすると下値のリスクもあるかもしれません。
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