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キプロス問題合意にも円急騰

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<ひと目で分かる昨晩の動き>

【NY市場】
ドル円は「キプロスとトロイカが大筋合意」との報道でドル買いが強まり95円目前まで上昇したが、NY時間にはロイター通信がユーロ圏財務相会合の議長の話として「キプロスのケースはその他ユーロ諸国のひな型とみなされる」との内容を伝えると、円買いが加速。ドル円は一時93円53銭まで下落。その後発言内容の趣旨を撤回したことで94円台まで値を戻す。

ユーロドルも急落し、約4ヵ月振りとなる1.2830を記録。ユーロ圏財務相会合議長の発言から、ユーロ圏の債券や預金の安全性を巡り懸念が強まった。ユーロは対円でも急落し120円割れ目前まで売られる。

株式市場は反落。朝方はキプロス問題の収束を手掛かりに上昇したものの、上記ユーロ圏議長の発言を嫌気して売りが拡大。ダウは64ドル安、ナスダックは9ポイント安。

債券相場は先週末とほぼ変わらず。

金は続落し、原油は続伸し94ドル台に乗せる。

ドル/円93.53 ~ 94.93
ユーロ/ドル1.2830 ~ 1.2994
ユーロ/円120.08 ~ 123.24
NYダウ-64.28 → 14,447.75ドル
GOLD-1.60 → 1,604.50ドル
WTI+1.10 → 94.81ドル
米10年国債+0.002 1.922%
 
【本日の注目イベント】
豪   スティーブンス・RBA総裁講演
欧   ノボトニー・オーストリア中銀総裁講演
米   2月耐久財受注
米   1月ケースシラー住宅価格指数
米   3月消費者信頼感指数
米   2月新築住宅販売件数
米   3月リッチモンド連銀製造業指数

キプロスへの支援問題を巡って昨日朝方には、EUなどトロイカとキプロスが大枠で合意したことを受けユーロドル、ユーロ円が買い戻されドル円も上昇したましたが、それでも95円台には届きませんでした。目先の最大の懸念材料が解決に向けて合意したにも関わらず、ドル円の反発が鈍いことがやや気にはなっていましたがNY市場で93円台半ばまでの急落は予想できませんでした。

ユーロ圏財務相会合で議長を務める、オランダの財務大臣が「キプロスのケースはその他ユーロ諸国のひな型と見なされるべきだ」と発言したことをロイター通信が伝えたことで、他の過剰債務国でも預金や債券をカットされる可能性があるとの懸念が広がり、再びユーロの急落に繋がっています。「リスクオン」が後退すれば、いつものように安全通貨の円が買い戻され、ドル円は一時93円53銭まで円高が進みました。同議長がその後、キプロスの銀行の再編計画は特殊なケースだと「火消し」に回ったことでユーロはやや値を戻しましたが、欧州危機は未だに収束していないことを改めて認識させられました。

キプロス支援での合意は、同国第2位の銀行であるキプロス・ポピュラー銀行が整理され、保証対象外の預金と優先債保有者などの無担保債権はほぼ全額が失われる見通しで、最大手のキプロス銀行の保証対象外の預金者は最大40%の損出負担が求められているようです。ただ、朝方の情報ではロシアのプーチン大統領は、キプロスの国際的な救済に関する合意を受け入れる意向を示唆し、同国への融資を実行する可能性も出ています。この問題についてはまだ流動的で、欧州時間には情報が駆け巡ることで市場のボラティリテーも上昇しそうです。

NY連銀のダドリー総裁は講演で、「非常に緩和的な金融政策の継続は適切だと言える」と発言し、出口戦略の話は時期尚早だとの見解を示しました。同総裁はバーナンキ議長と同様に「ハト派」を代表する存在で、FOMCでも投票権を持っています。この発言から伺えることは、米景気の回復が順調に進んでも早くとも2013年度内には量的緩和の縮小や解除は考えにくいということです。今回のキプロス問題など、まだ欧州危機は収束しておらず、欧州発の景気後退リスクに備えているように思えます。従って、毎月850億ドルもの資産購入もその規模は維持され、これが米長期金利の下落圧力となり、ひいてはドル円の上値を抑える役割を果たしています。

「ドル円の上昇傾向は変わらないものの、上値が徐々に重くなっている」と何度か述べてきましたが、昨日のドル円の急落で「日足」より短いチャートでは上昇パターンは崩れ、短期的な下落傾向を示し始めています。「8時間足」では「120日線」を一旦下抜けしたように見えますが、その後94円台を回復したことで、「長い下ヒゲ」を示現させています。これは先月25日の「イタリアショック」の時と同じパターンで、まで完全に下抜けしてはいません。93円78銭以下で推移するようだと下落トレンド入りすることが考えられます。

救いなのは、「日足」ではまだ「転換線」が「基準線」を下抜けする「逆転」が起きていないことです。また「基準線」は依然横ばいで、これは過去26日の高値、安値の中央値であるため、今週中は横ばいか若干上向きになることが予想されます。もっとも、ローソク足が93円78銭を割り込みそれ以下で推移すると、「中長期的な下落に入る最初のシグナル」になる可能性はあるため注意が必要です。株価も下落し、円が上昇し始めている足元の「リスクオフ」がどこまで進行するのかを見極める段階にいます。

【外為オンライン シニアアナリスト 佐藤正和の情報コンテンツはこちら】

【外為オンライン シニアアナリスト:佐藤正和】 邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。 インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。 通算20年以上、為替の世界に携わっている。
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