現代社会の理想郷、ユートピア。ここでは、みんな幸せで満たされている。その昔、国王、王の家族、その友人達にあらゆる物を貢ぐ為に社会は形成され、百姓は奴隷で動物のように扱われ、重労働を強いられた。時が経ち、一見すると社会構成はよい方向に変化していると見受けられるが、記憶に刻み込まれているためか、同じ心因が、役人と一般人の間に働いている。
どんな国でも国民は、政府関係者か、そうではないか、のどちらかに属する。王か農奴か。公使か労働者か。果物を食べる側か、それとも作る側か。
この社会構造がフェアかどうか道徳の話はさておき、経済の話をしよう。この社会構造の変化が経済に影響し、今まさに先進諸国の車輪が脱輪しそうな危うい状態にあるのだ。
政府関係者を雇用しても、資産が増える訳でもなく、反対に債務を負う事となる。どんなにその人が善良でも、よい看護婦でも、有能な国税徴収官でも、優秀な警察官でも、従業員は財を直接は産み出さない。その人が離職した職場、例えば、農業、漁業、車工場で、その人が生産してきた資産はそこでストップし、生産する代わりに資源の消費者側にまわる。経済的に悪循環に聞こえるが、こうする必要はないはずだ。
ご承知の通り、小さすぎる政府は良くないが、大きすぎるのもまた具合が悪いものだ。ほどよく、会計と収支、資産と負債、支出と収入のバランスが取れているのが望ましい。
日本、米国、欧州を例に取ると、一般諸経費が恐ろしいほどに収入を上回る状態になっている。先進諸国をひとつの会社として例えるとかなり悪い状態で、急速に破産へと進んでいるように見受けられる。
そこで解決方法だが、羊の方を番犬よりも多くする事。政府関係の仕事を減らし、プライベートセクターの仕事を増やす事。すなわち、コストを減らし、収入を増やす事が必要だ。これが先進国での負債問題解決の急務だと考える。
日本、ドイツ、そしてある意味フランスも、貿易黒字が負債の補填に一役買っているが、残りの米国、英国、スペイン他は貿易赤字がアダとなり苦しんでいる。末期的な下げに効く唯一の方法は、国の労働分布の再構築しかない。日本も国の借金が膨れ上がり続けると、同じ問題に直面するだろう。
大恐慌で苦しむ時、日本は色々な意味で手本となりえる。ロストジェネレーション(失われた世代)は、バブル崩壊後の経済再構築は悪い例だと欧米諸国からは見られている。それに比べると、ロシアや南米での経済再構築は緩衝材を叩いているかのごとく、痛みを伴わなかった。
脆弱な政治家達は、レーガン、サッチャーの時代のような、短期ショック療法ではなく、長期的鈍痛を伴う治療を選択するであろう。
そうすると非常に悪いニュースだが、今後も続くと思われる米国債の格下げは、時代の転換期を示している。速急に方策を講じなければ、今までに経験した事のない不況がやって来るだろう。それを避ける方法は、、、、、、、
インフレを調整せず野放し状態にして、数字すべてを無意味にする事だろうか。効果的なのはこの方法がベストだろう。5年から10年の間には、インフレ効果が出るはずだ。ジンバブエでさえもこの方法を実行出来ているじゃないか。歴史のはじまりからインフレは頼りにされているのだ。
いずれにせよ、向こう数ヶ月から多分1、2年のうち徐々に明るみに出て来るであろう。小手先の技巧は次々に襲いかかる危機には太刀打ちできない。
金融恐慌最終ゲームが始まった。