マクロ経済の指標

次に、国の経済状態の健全性を計測しましょう。経済の「ファンダメンタルズ」を理解するには、各経済分野の生産性や活力を調べる必要があります。製造業、小売業、建設業、消費者の購買意欲、雇用状況、等のデータを調べてみましょう。各分野のデータは政府機関、学術機関、民間企業から発表されます。

国内総生産 GDP (Gross Domestic Product)　

GDPは主要指標の一つで、国内で新たに生産された財やサービスの付加価値額の総額を表します。GDPからは、その国の経済成長や景気動向が総合的に判断出来ます。計算式は国内総生産＝消費支出＋投資支出＋政府支出＋経常支出（輸出−輸入）となり、外国人による国内での生産を含み、自国民によって海外で生み出された財などは含みません。

国民総生産 GNP (Gross National Product)　

GNPでは国内に限らず自国の海外企業の生産額も含みます。日本の自動車会社がミシガンに工場を開いたら、車の価値や投資の為に使われたお金はアメリカのGDPと見なされますが、その資本や利益は日本のGNPと考えられます。GDPとGNPは四半期ごとに発表されます。GNPの計算式がGDPと違うところは、自国民の海外収益を含み、外国人による国内での収益を含まないという事になります。

耐久財新規受注（米国） (New durable Goods Manufacturer’s Orders)

米国耐久財新規発注とは、米国内における耐久財（耐久年数２年以上の消費財で、自動車、航空機、家電製品、家具などを指す）の新規受注額を集計した経済指標で、民間設備投資の先行指標として市場から注目されます。一般的に耐久財の発注は生産段階に入る前に行われているということで、生産や設備投資に対して先行性があります。製造業新規受注のなかで、速報として発表されるだけに市場の注目度は高くなります。

小売売上高（米国） (Retail Sales)

小売売上高は、月に一度発表されます。小売業者を対象にしたアンケート調査が実施され、その結果がまとめられて発表されますが、米国GDPの3分の2を占める個人消費のトレンドが把握出来ます。消費者に十分な収入があれば購買意欲が上昇し、生産も増加して、輸入も増加する傾向にあります。米国では、小売業の売り上げは季節指標とも言われます。9月は新年度の開始月で、12月はクリスマス商戦に入るので、これらの月の総合小売店の売り上げは伸びる事が予想されます。特に、年末のクリスマス商戦の結果を確認する材料として、1月に発表される米小売売上高の結果には注目が集まります。また各ビジネスは、この時期に向けて戦略が立てられます。

住宅販売に関係するこれらの指標は住宅産業における経済のバイタルです。住宅建設許可件数、建設資材費、建設着工件数は、それぞれ、建設計画中の新築物件数、建築現場の売上げ、そして新築完成物件数を示します。新・中古住宅の販売は住宅市場の動きを示しています。住宅購入者が多いと、消費者の収入も安定していて経済状態も良いと判断されます。住宅建設は非常に大きな部門なので、住宅売上が落ち込むと、経済状態は悪くなります。他には、住宅価格の変化についての指標などもあります。住宅価格のデータは、住宅販売データと比較されて発表されます。

株価

その国の株式市場は、値動きとその国の大手企業の価値により反映されます。株式指数の増減は投資家感情と金利の動きの両方によって決まります。金利とインフレ指数は、為替相場の見通しを図る重要な経済指標です。次はこれらの指数を見てみましょう。