<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は110円台を回復し、110円46銭までドル高が進む。ユーロドルが1.13を割り込み、ユーロ安が進んだことで円もつれ安となる。この日のドル円は終始110円台で推移。
ユーロドルは1.13を割り込み、一時は1.1267までユーロ安が進む。英国のGDPが悪化していたこともあり、ユーロ圏の景気に弱気の見方がユーロ売りにつながる。
株式市場はまちまち。ダウは53ドル安と、3日続落。一方ナスダックは9ポイント上昇。
債券相場は小幅に下落。長期金利は2.65%台へとやや反発。
金と原油はともに下落。
ドル/円 110.20~ 110.46
ユーロ/ドル 1.1267 ~ 1.1314
ユーロ/円 124.41 ~ 124.88
NYダウ -53.22? → 25,053.11ドル
GOLD -6.60 → 1311.90ドル
WTI -0.31 → 52.41ドル
米10年国債 +0.018 → 2.652%
【本日の注目イベント】
米 パウエルFRB議長講演
米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演
ドル円は昨年末以来となる110円台半ばまでドル高が進んできました。これまで110円台を何度かテストしたものの、全て押し戻されていましたが、今回はしっかりと110円台で安定し、半ばまで上昇しました。110円台を固めることができるのかどうかが焦点になりますが、1カ月半ぶりのドル高水準であることから、110円台半ばから上ではドル売り注文も多く出ると見られますが、それでも110円台を維持することができれば、上昇トレンドを明確にすることができるかもしれません。
昨日のドル円の上昇は特に円を売る材料があったわけではありません。ユーロ安に引っ張られたことが背景と見られます。ユーロドルは1.1267前後まで売られ、昨年11月28日以来となるユーロ安をつけています。ユーロは域内の景気減速が鮮明で、先週欧州委員会は、2019年域内の実質経済成長率の見通しを昨年11月に発表した1.9%から0.6ポイント低い1.3%に下方修正しました。
域内のけん引役であるドイツの低迷がユーロ圏全体の成長を押し下げていると見られています。またイタリアの成長率も1.2%から0.2%へ引き下げられており、ドイツやフランスで政治的な不安定さも顕著になってきている中、経済成長の鈍化がユーロ売り、ドル買いを加速させているようです。1.12台半ばまで売られたユーロドルですが、ここからは昨年11月12日に記録した1.1216前後を割り込み、1.11台まで売られるのかどうかが注目されます。1.11台へ突入するようだと、ドル円でもさらにドル高が進む可能性があります。ただその場合でも、ユーロドルの下落よりもドル円の上昇スピードの方が遅いと見られ、ユーロ円が緩やかに下落すると予想しています。英国が合意なき離脱に追い込まれるのかどうかも、ユーロにとっては重要な変動要因です。3月に向けて、いよいよユーロの動きが活発になる可能性が高まって来ました。
米中次官級協議は14日から15日の予定で行われます。日程後半では米国側の交渉責任者であるライトハイザーUSTR代表やムニューシン財務長官も交えて協議になるようですが、先週突然トランプ大統領は習近平国家主席との会談は行わないことを示唆しています。交渉期限まで3週間を切ったことを考えると、今回の協議が合意に向けてはかなり重要な会合になるのではないかと思われます。
今週は再び米政府機関閉鎖が焦点になります。メキシコ国境の壁建設費用を巡って15日までに予算が決まらないと、再び政府機関の一部が閉鎖されることに加えて、債務上限の適用が3月上旬に再開されるのに伴い、より大きなリスクが生じる見通しも強まっているとブルームバーグは伝えています。米法定債務上限の適用期限は3月1日で、それ以降も閉鎖が続くようだとさらに交渉が複雑化すると見られています。このような状況になると、ドルの上値も限られるかもしれません。本日のドル円は109円90銭~110円70銭程度を予想します。
【外為オンライン シニアアナリスト 佐藤正和の情報コンテンツはこちら】