<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は113円台を前に小幅に下落。米株式市場が再び大幅に下落し、長期金利も低下したことで112円56銭までドルが売られる。
ユーロドルは1.13台半ばから上昇し、1.1424前後までユーロ高が進むも、再び押し戻されもみ合いに。
株式市場は再び大幅下落。米中貿易戦争の行方や、利上げを懸念した売り物が加速。ダウは558ドル下落し、ナスダックは3%を超える下げに。
債券相場は7日続伸。株価の下落基調に伴い、新規資金が流入し価格を押し上げた。長期金利は2.84%台へと低下。
金は続伸し1252ドル台に。原油価格はOPEC総会で日産120万バレルの減産で合意したことを受け上昇。
11月失業率 → 3.7%
11月非農業部門雇用者数 → 15.5万人
11月平均時給 (前月比) → 0.2%
11月平均時給 (前年比) → 3.1%
11月労働参加率 → 62.9%
12月ミシガン大学消費者マインド(速報値) → 97.5
10月消費者信用残高 → 25.384b
ドル/円112.56 ~ 112.91
ユーロ/ドル1.1366 ~ 1.1424
ユーロ/円 128.18 ~ 128.67
NYダウ -558.72 → 24,388.95ドル
GOLD +9.00 →1,252.60ドル
WTI +1.12 → 52.61ドル
米10年国債 -0.047 → 2.845%
【本日の注目イベント】
日 7-9月GDP(改定値)
日 10月国際収支
日 11月景気ウオッチャー調査
トルコ トルコ7-9月GDP
独 独10月貿易収支
独 独10月経常収支
英 英10月鉱工業生産
英 英10月貿易収支
加 カナダ11月住宅着工件数
加 カナダ10月建設許可件数
米国株が再び大き下落しました。先週末のダウは500ドルを超える下げに見舞われ、ナスダックはさらに下落幅が大きく3%を超え、7000の大台を割り込んでいます。11月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が市場予想を下回る15.5万人で、10月分も25万人から23.7万人へと下方修正されました。失業率は3.7%と、予想通りでしたが依然としと低水準で、平均時給の方も3.1%(前年同月比)と、2カ月連続で3%台を確保しており、今回の雇用統計の結果だけでは、「来週開催される今年最後のFOMCでの利上げ見送りにはつながらない」との見方が支配的です。また米中貿易戦争の行方は、先の米中首脳会談を経てひとまず楽観ムードが出てきましたが、先週のファーウェイの副会長逮捕が米中関係に悪影響を与える可能性が出てきたことも株価にとっては悪材料になっています。事実、中国外務省の楽玉成次官は9日、米国の駐中国大使を呼び出し、ファーウェイの副会長逮捕ついて抗議した上で、必要なら「さらなる行動」を
取ると警告しました。(ブルームバーグ)
ホワイトハウスからまた重要な側近が一人去ることになりました。ケリー大統領主席補佐官が年末までに辞任することが伝えられています。報道では、現在ペンス副大統領の主席補佐官を務めているニック・エアーズ氏が代理の大統領主席補佐官になる可能性が高いとしています。ここしばらく安定していたホワイトハウスの人事でしたが、ここにきて再びトランプ氏と意見の合わない側近の動きが慌ただしくなってきました。マティス国防長官も年内に辞任するのではないかとの観測もあるようです。
徐々に上値が重くなってきたドル円ですが、上記ドル安材料に加え、米長期金利も2.84%台まで低下してきました。この水準は今年8月下旬以来、約3カ月半ぶりの低水準になります。本来ならドル円は、もう少し水準を下げて、110円~111円でもおかしくはないと思われますが、この条件の割には堅調に推移しており、円高には至っていません。年末に向かってドル需要が膨らんでいることや、欧州通貨がドルに対して売られていることなどが、ドル円をサポートしているものと思われます。もちろん、米中貿易戦争のさらなる悪化や、長期金利の低下がさらに進むようだと、ドルが急落するリスクはありますので、注意が必要です。
ドル円は先週も112円23銭前後まで売られていますが、10月29日以降112円台は一度も割り込んでいません。そのため112円台は目先のサポートゾーンと見られます。足元では112-114円のレンジを形成していると見られますが、それでもここ数日のドル円は、反発しても「1時間足」の雲の上限を抜け切れない状況が続いています。引き続き株価の動きに翻弄される市場が続いています。本日の日経平均株価がどこまで下げるのかにも注目です。本日のドル円は112円~113円程度を予想します。
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