<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
先週末に急騰したドル円は96円台で一進一退。それでも株価が堅調だったことからドルは底堅く、この日の高値近辺で引ける。
ユーロドルは1.30割れが底堅く、上値は限られると見られながらも堅調に推移。1.30台半ばまでユーロが買い戻される。
株式市場は7日続伸。ITや金融株に買いが集まり、ダウは50ドル高と連日最高値を更新。
債券相場は続落。10年債利回りは引け値ベースで11カ月振りとなる2.06%台まで上昇。
金、原油は動きのない中小幅に続伸。
ドル/円96.01 ~ 96.37
ユーロ/ドル1.2988 ~ 1.3054
ユーロ/円124.84 ~ 125.66
NYダウ+50.22 → 14,447.29ドル
GOLD+1.10 → 1,578.00ドル
WTI+0.11 → 92.06ドル
米10年国債+0.021→ 2.061%
【本日の注目イベント】
豪 豪2月NAB企業景況感
日 日銀金融政策決定会合議事録(2/13-14日分)
日 岩田、中曽日銀副総裁候補、参院で所信聴取
独 独2月消費者物価指数(確報値)
欧 スペイン短期債入札
欧 イタリア短期債入札
欧 リーカネン・フィンランド中銀総裁講演
英 英1月鉱工業生産
英 英1月貿易収支
米 2月財政収支
先週末のNY市場で96円60銭まで上昇したドル円は、さすがに昨日の月曜日に新値を取ることはなく、上値も重い展開でした。ただそれでも96円割れはなく、終始96円台で推移し底堅い動きです。やはり堅調な株価がドル円をサポートしているものと思われます。昨日のNY株式市場はさらに続伸し、ダウは50ドル高で引けています。これで7営業日連続で上昇したことになり、史上最高値を更新してから既に300ドルほど上げています。一方日経平均株価の方も8日連続で続伸し、こちらも連日大商いが続いています。「これほど株式市場がにぎわいを見せるのは一体いつ以来だろう?」、そう考えたら1980年台後半のあのバブル以来記憶がありません。
当時、恐らく証券関係の人たちがつくったであろう、「株式を持たないリスク」などという言葉が広く語られ、猫も杓子も株への投資を行っていました。FXでは有名な「ミセスワタナベ」は既に、この時に存在していたものと思われます。現在のようにインターネットを使った取引ではなく、電話注文でした。証券会社の郊外店舗には札束を抱えた主婦が開店前から並んでいたものです。このところの株式欄を読むと、「土地の含み益」などをテーマに取りあげ、土地を多く所有している企業を推奨銘柄にしているような動きもあります。かつて大型株の代表である新日鉄(現新日鉄住金)の株価が1000円を超えたのも、まさにこのテーマに押されて急騰したものです。今回の株高ではそのようなことにならないことを願いたいものです。
株高は日米だけではありません。欧州ではDAX(ドイツ)やFTSE(イギリス)などは既にいち早くリマンショック後の高値を更新しています。アジアでもフィリピンでは史上最高値を大きく更新しています。このように株高が投資家のリスク許容度を高め、より高金利の豪ドルなどを買い、低金利の円が売られています、今年の年初から見られた現象は、米ドルも低金利通貨であったため、円以外の主要通貨に対しては売られていましたが、2月辺りからは全ての通貨に対して堅調に推移しています。これは好調な経済指標に支えられ、米景気の回復傾向が鮮明であることが背景かと思われます。
今日も朝方から円売りが進んでおり、ドル円は先週末のNYの高値を更新する水準まで上昇しており、豪ドル円は2008年8月以来となる99円台まで「豪ドル高円安」が進んでいます。フィボナッチでみると、ドル円の半値戻しが99円73銭辺りになりますが、ここからの上値には重要なレジスタンスが見当たらないことから値を飛ばす可能性もあります。
本日も国会では2名の副総裁候補の所信聴取があります。昨日黒田総裁候補は参議院での所信聴取で、総裁に就任したら前倒しで緩和策を実施する可能性を示唆しました。市場の期待に答えるだけではなく、同じ政策を実施するにしても市場に「サプライズ」を与える方法が有効だということを熟知していると思われ、早くも動き出す気配を見せています。量的緩和の解除は2015年以降ではないかと見られているFRBの政策スタンスと、新体制に移行しこれまで以上に積極的に金融緩和を進めて行くと見られる日銀の政策スタンスの差が、そのままドルと円の為替レートとして反映されると考えれば、ドル円が今後も上昇して行くことは十分考えられます。「日銀の次の一手」を市場がどこまで織り込むのかが、円がさらに一段と売り込まれるかどうかのポイントになります。今朝のドル円の動きをみると、ドル円は95-100円の新しいレンジに入った可能性が高いと予想します。