人生は皮肉な物で、それは市場も同じだ。政府が何をしても、最終的には市場がいつも一枚上手なのだ。監督機関や閣僚が一つ問題を解決すると、市場はさらに問題を生み出す。少なくなるものは、問題ではなく希望ばかりとは、皮肉である。
欧州中央銀行は、西欧諸国のインフレの状況をやっと把握したようだ。リスクや不安定さが行き渡っていたが、それも追放出来そうだ。しばしの平和な期間を経て、金融危機が起こり中央銀行の役人達は本当に愚かに見えたものだ。
弾圧的管理体制の君主は、混乱気味の民主社会のそれよりもっと、平和と静寂を好む。しかし、革命や暴動が勃発し事態が悪化すると、独裁管理体制下の恩恵など取るに足らないものと化す。
だから、この民主社会の混沌、雑音、混乱はまだ良い事だと、政府や監督機関は学習すべきである。
さて今回、日本の春を満喫し、東京滞在はとても興味深いものとなった。日本はとても整備の行き届いた国だが、経済問題は私でさえ気がつく程だった。そして日本のインフレを目の当たりにした。様々な物の値段がどんどん下がる一方で、急騰している物がある。アメリカも日本と同じような状態にある。家の値段や賃金が急落する一方で、生活必需品は急騰している。豊かさや満足度の減少はインフレ指数には現れない。インフレが色々な物をコントロールすると、本当の豊かさは維持出来なくなる。
私は元来強気な相場観を持っていて、日本市場に対してもそうだ。先週、CNBCアジアに東京スタジオから出演した際、一年以内に日経平均は1万1000円まで回復すると断言した。司会者は驚いて喉を詰まらせそうになった。奇跡でも起こらなければ、無理だと思っているに違いない。
実際に東京の町をそぞろ歩き、会話を交わすと、正直な所、町も人も今ひとつ元気がなくて暗いのに気づく。それは仕方ない事だ。
こんな状態でも、最終的には、私は日本がこのまま失墜するのは絶対にありえないと信じる。それではどうするか。造幣局のどなたか、紙幣を印刷し、そのお金で国債を買い戻そう、などと提言したら、皆さんぞっとするに違いない。
そんな事は出来ない!
なぜ出来ない?
インフレを招くからだ。
インフレは歓迎ではなかったのか?
実のところ、日本はインフレが必要だ。きっと誰かが2〜3%のインフレは良い事だと決断を下すであろう。この目標到達は容易である。
そして、この決断が下された時に、日本はまた復興するであろう。
その日が早く来る事を願っている。