<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ドル円は注目のFOMC政策発表を受け反発。声明文では「相当な期間」という文言は維持され、「辛抱強く」という文言があらたに加えられた。ドル円は発表直後に下押ししたものの、その後イエレン議長が早期の利上げには否定的な発言をしたことで株価は急伸し、ドル円も118円90銭まで上昇。
イエレン発言をきっかけにユーロドルは大きく値を下げる。1.24台後半から1.2330近辺までユーロ安が進み、ドル全面高の様相。
株式市場はイエレン議長の発言を好感し急反発。ダウは300ドルを超す上昇を見せたが、引け際には上げ幅を縮め、それでも288ドル高。その他主要株価指数も軒並み大幅に上昇。
債券相場は反発。FOMC声明文に「辛抱強く」という文言が加えられたことで利上げは後ずれしないとの見方が広がる。長期金利は小幅ながら上昇し、2.14%台に。
金は小幅に反発し、原油は下げ止まり54セント高。
11月消費者物価指数 →0.3%
ドル/円116.82 ~ 118.90
ユーロ/ドル1.2332 ~ 1.2477
ユーロ/円145.05 ~ 146.76
NYダウ +288.00 → 17356.87ドル
GOLD+0.20 → 1,194.50ドル
WTI+0.54 → 56.47ドル
米10年国債 -0.024 → 2.142%
【本日の注目イベント】
独 独12月IFO景況指数
英 英11月小売売上高
米 新規失業保険申請件数
米 12月フィラデルフィア連銀景況指数
昨夜の当社セミナーでは、FOMCに関する文言の予想を行い、マーケットのコンセンサスは「相当の期間」が削除されるであるが、個人的には足元で進行している原油安が金融市場に与えるが影響を無視出来ない
状況まで きていることで、慎重派のイエレン議長が何らかの「配慮」をするのではないかと説明しました。「それは、相当な期間」という文言を据え置くか、仮に削除しても、その後の記者会見では「ハト派的」な
発言を加え、株価上昇の一助になるようなものを・・・という想定でした。
そんな説明をしましたが、FOMC声明文では概ねその通りの内容でした。「相当な期間」という文言は維持され、その代わりに「辛抱強く」(Patient)という文言が挿入され、この時点では利上げは近いとも取れなくはありませんでしたが、その後イエレン議長は記者会見で丁寧に説明を行っています。
議長は今後のガイダンスの変更について、「正常化に向けたプロセスが少なくとも今後数回の会合では始まらない可能性が高いとFOMCが見なしている」と説明しています。また同時に「FOMC内には様々な見方がある」と指摘した上で、「フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の最初の引き上げ時期やその後の筋道は、経済情勢次第だ」と、これまでと同様に経済指標を重視する姿勢を改めて強調しています。(ブルームバーグ・ニュース)
利上げの開始の時期が明確に後ずれしたわけではないものの、数回のFOMC会合で決まるわけでもない、という微妙な言い回しだったものの、市場はある意味「FRB頼み」だった部分もあり、金融市場は素直に
好感した格好になっています。ドル円はFOMC声明文発表後、一旦は売られ117円台を割り込む局面もありましたが、その後は急反発し、118円90銭までドル高が進行しました。
これで一旦は底値の見えない株価と、ドル円が反発し、正常化へ一歩近づいた印象もありますが、原油価格が依然として不透明であることから、まだ予断は許しません。ドル円は118円90銭近辺までドルが買い戻されてはいますが、ちょうど「1時間足」の200日線に挑んでいるところです。この上には「4時間足」の52日線と「雲」があることから、このレベルから119円台半ばが抜けるかどうかが、今後ドル上昇のポイントになろうかと思います。
NY株式市場の急反発で、日経平均も大幅な上昇が見込めます。119円台のどこまでドルが買われるのかを注視していますが、現時点では115円ー120円のレンジ内で推移するとの見方を堅持しています。大げさに言えば、FRBが今回金融市場を救ったといえなくもなく、今度は日銀の出番です。イエレン議長は市場に、大きなクリスマスプレゼントを置いて行きました。明日の記者会見で黒田総裁が市場の安定に向け、どのような発言を行うのかじっくり見たいと思います。本日のレンジは118円~119円50銭程度を予想します。