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ニュージーランドとオーストラリアの貿易関係

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日本人の友人達にニュージーランドとオーストラリアの関係性について質問したところ、ライバルであり敵同士であるとの答えが返ってきました。この質問に答えてくれた友人達は実は両国に滞在した経験がない人たちの意見であり、正直なところ、事実はこの答えとかけ離れています。

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当然ながら両国の文化は異なるため、時として兄弟が張り合うような対立を見せます。この対抗意識が唯一強く表面化するのがスポーツで、ラグビーとクリケットは特にその傾向が強くなるようです。

ただ、このスポーツに関する対抗意識を除けば、ANZACs(オーストラリア・ニュージーランド合同の軍事組織)の兵士たちが第一次世界大戦で支えあい勇敢に戦った歴史的事実から見ても、本来この二カ国は非常に近い関係にあると言えます。

両国の親交関係が発展してきたのは、先のANZACのみならず様々な背景があります。例えば、1973年にイギリスが欧州経済共同体に加わった事を背景に、両国にとっての主要な貿易相手国であるイギリスとの関係が薄れた事から、オーストラリアとニュージーランドは多岐に渡りお互いを助け合うようになります。これに関連して、1983年にオーストラリア―ニュージーランド経済緊密化協定が発効され、今日この協定は世界で最も成功した二カ国間協定として知られています。

1973年のタスマニア旅行取極(TTTA)の導入も二カ国の関係をより近づけた理由の一つでしょう。この協定により、二国間における移動、居住、就労などがより自由になり移住も比較的容易になりました。今日、約100万人のニュージーランド人が海外で生活しており、その内約半分の50万人がオーストラリアに住んでいます。

これまでオーストラリアの急速な経済成長と高い賃金を背景に毎年約40,000人のニュージーランド人が同国に移住してきました。50万人という数字は実に人口の10%がオーストラリアに住んでいるという事で、その逆はどうかといえば、ニュージーランドに住んでいるオーストラリア人は僅か70,000人に過ぎません。

しかし、近年においてその伝統に変化が生じはじめており、今年度では、経済情勢を背景として過去24年間で初めてより多くのオーストラリア人がニュー人ランドに移住するという逆転現象が起こりました。

 

経済概要

この二国間の関係は、特にGDPの観点から言えば兄と弟の間柄のようにも見えますね。2013年度の統計によると、オーストラリアはGDP世界第12位(一人当たりGDP/USD67,458.36)、そしてニュー人ランドは53位(一人当たりGDP/USD41,555.83)となっており、単純に一人当たりGDP比で約US26,000ドルの違いが確認できます。

とは言うものの、経済基盤の背景が異なるこの二カ国を比較する事は単純ではありません。ニュージーランドは農業に、一方オーストラリアは鉱業に大きく依存しています。オーストラリアは今日、コモディティブームの後退に直面しており、同国経済は当面厳しい状況に置かれる事が考えられています。対照的に、OECD34加盟国で、2014年度において最も高い経済成長を果たしたニュージーランドの現在はとても堅調と言えるでしょう。

 

輸出入

近年、オーストラリアにおける輸出は、鉄鋼石などの要となる輸出製品の価格下落から厳しい時期を過ごしており、同業界における大幅なバジェットの減額も行われています。

オーストラリアには伝統的に鉱業という経済基盤があった一方で、そのような基盤の無かったニュージーランドは何かを生み出す必要がありました。近年、経済不況に国民の不満が出はじめたオーストラリアと、過去10~20年に渡り構造改革を遂行してきたニュージーランドの状況に変化が生じ始めていると言えるでしょう。

今日では、ニュージーランドの農産品はアジアの堅調な需要を背景に上り調子ですが、ニュージーランドにおいても経済の鍵となる貿易部門は、対外需要に影響されやすいという本質は変わらないでしょう。

ニュージーランドの主要輸出品目は、食品、乳製品、食肉、果物や魚であり、国内で生産された農産品の95%は海外に輸出されます。その中でニュージーランド最大の輸出品目は乳製品であり、その最大の輸出元はフォンテラ(NZE:FCG)です。フォンテラは売上高NZ220億ドルを誇る国内最大の企業で、設立して僅か14年で世界屈指の乳製品輸出企業の一つとなり、今日の乳製品価格の下落にも関わらず堅調に生産を続け国内経済を牽引する一翼を担っています。

 

グレン・ランバート(Glenn Lambert)。ADVFN営業課長。ニュージーランド出身。2002年に来日し、英国を本拠とするADVFNの日本法人でマネージャーして従事。ADVFNは、世界各国の金融情報をポータルサイトで提供。FX,株式などの分析ツールのほか、著名レポートも配信している。トレーダーが自由に書き込む掲示板も人気。

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