<ひと目で分かる昨晩の動き>
【NY市場】
ECBのドラギ総裁発言を受けドル円は下落。119円65銭まで売られたが、ユーロ売り円買いも出たことで、ドル円の上値は抑えられた。
ECB理事会後の記者会見で、ドラギ総裁が量的緩和の拡大も辞さないと発言したことで、ユーロドルは大きく下落。一時は1.1088までユーロが売られ、ユーロ円も133円台前半までユーロ安が進む。
株式市場は高安まちまち。アップルなどが下げたが、ダウは23ドル高となり、ナスダックは16ポイント下落。
債券相場は反発。ECBが景気見通しを下方修正したことから債券が買われた。長期金利は2.16%台に低下。
金は続落。原油は続伸し、46ドル台を回復。
新規失業保険申請件数 → 28.2万件
7月貿易収支 → -418.6億ドル
8月ISM非製造業景況指数 → 59.0
ドル/円119.65 ~ 120.39
ユーロ/ドル1.1088~ 1.1237
ユーロ/円133.14 ~ 135.07
NYダウ +23.38 → 16,374.76ドル
GOLD -9.10 → 1,124.50ドル
WTI +0.50 → 46.75ドル
米10年国債 -0.024 → 2.163%
【本日の注目イベント】
欧 ユーロ圏4-6月期GDP(改定値)
米 8月雇用統計
米 ラッカー・リッチモンド連銀総裁講演
加 カナダ8月失業率
ECBは域内の経済成長とインフレ見通しを引き下げ、量的緩和プログラムに基づき公的部門の債券1銘柄についてECBが購入できる割合の上限を引き上げました。ドラギ総裁はインフレ率が向こう数ヶ月マイナスになる可能性があると指摘し、景気を押し上げるため必要ならばあらゆる手段を駆使すると述べました。(ブルームバーグ)
ギリシャ問題で大きく売られていたユーロドルは、最悪の事態が避けられたことをきっかけに、ユーロを買い戻す動きが活発化し、先月24日には1.17台前半までユーロ高が進みました。昨日ドラギ総裁が、さらなる量的緩和の可能性も排除しないと発言したことから、再びユーロの先安感が台頭し、ユーロドルは一時1.1088まで下落し、ユーロ円も5月下旬以来となる、133円台前半まで売られています。
ドラギ総裁は「景気がさらに弱まりインフレが想定通りに回復しない場合はもちろん、QEを延長するだろう」と語っており、これは中国景気の減速の影響で域内の景気にも大きな影響がでることを意識した発言かと思われます。原油安や世界同時株安による影響から、インフレ率が目標の2%を下回っている状況でもあり、再びユーロ安による効果を狙っている面もありそうです。
ドル円は120円を挟んで神経質な動きにはなっていますが、明確な方向性は見えて来ません。16-17日に開かれるFOMCでの利上げ観測は依然として残っており、市場の不透明感を払拭できていません。また、ここにきて日銀による追加緩和の可能性も急浮上してきました。一部にはFOMC前にもすべきだとの意見もあり、来月末の日銀決定会合が、昨年のサプライズ緩和から丁度1周年にあたるため、「再追加緩和」に期待も盛り上がっている状況です。個人的には、まだ日銀が動く環境ではないと思いますが、2016年前半での2%物価上昇の達成は非常に難しい状況であることは事実です。
今夜は米国の8月雇用統計が発表されます。事前予想は失業率が5.2%で、非農業部門雇用者数は21万7000人です。当社の「外為LABO」執筆者でもある田嶋氏も指摘していたように、例年8月の雇用者数は下振れすることが多いようです。2011年から2014年までの4年間で見ると、何と全て実績が事前予想を下回っています。特に昨年8月分は、予想の23万人に対して、14.2万人でした。今回も予想を下回るかどうかは分かりませんが、注意するにこしたことはありません。本日の予想レンジは119円~121円と、ややワイドに見ています。