海外市場でドル円は、米経済指標が予想を上回る良好な結果となったにもかかわらず、米長期金利が大幅に低下したため円買い・ドル売りが優勢となったことで、108.61円と3月24日以来の安値を付けた。
ユーロドルは、欧州市場では米長期金利の低下に伴うユーロ買い・ドル売りが入り一時1.1993ドルと3月4日以来の高値を付けたものの、節目の1.2000ドルに接近した場面では戻り売りなどが出たためNY市場では上値の重さが目立った。
本日の東京時間のドル円の上値は重いままか。良好な米経済指標にもドル買いの勢いは限られていることは、強いドル売りトレンドが形成されていると言えそうだ。米10年債利回りが1カ月ぶりに1.6%台を割り込み、米金利が低下傾向をたどったことがドル円の頭を押さえたが、引けにかけてはじりじりと上昇したのにもかかわらずドル円の戻しが鈍かったことも、ドル円の頭の重さを表している。
また、昨日発表された対外及び対内証券売買契約等の状況で、国内投資家の外貨資産買いも目立ったが、海外投資家の円資産の買いも昨年2月以来の高水準だったように、海外からの円買い意欲も継続されるか。ただし、ドル円の上値が限られるだろうが、東京時間は買い遅れている本邦勢などが買いを入れていくことで急落することはなく、緩慢な動きの中でのドル売り・円買いとなりそうだ。
本日の東京時間には1−3月期中国国内総生産をはじめ、中国から複数の経済指標が発表される。ドル円への直接的な影響は薄いだろうが、株式市場や市場全体のリスクオン・オフにつながり、間接的にドル円相場に影響を及ぼすこともありそうなので注意を怠らないようにしておきたい。
東京時間ではないが、円絡みで注目されるのは本日ワシントンDCで日米首脳会談が行われることだ。重要な議題が対中問題になることで、人権問題を含め踏み込んだ共同声明などが出た場合には、地政学リスクを含め市場への影響も必至なことで要警戒となる。また、地政学リスクではバイデン米大統領が中国だけではなく、ロシアに対しても強硬姿勢を示していることもリスク要因となりそうだ。
ドル円以外では東京時間ではオセアニア通貨、欧州入り後は欧州通貨が市場を牽引するだろう。昨日の豪雇用統計はヘッドラインこそは良かったが、正規雇用者数が減少したことで豪ドルは一時的に発表後に弱含んだ。しかし、欧米時間に豪ドルは再び上昇に転じ、対ドルでは3月中旬以来の水準まで上値を広げた。
日米首脳会談で中国批判が高まると、豪州も対中関係の悪化が避けられないことで豪ドルの上値を抑えることもあるが、ここ最近のトレンドを変えるのは難しそうだ。なお、昨日は対ドルで、ランドが1.6%弱、メキシコペソやブラジルレアルが0.6%強、オセアニア通貨の豪ドルとNZドルが0.3-0.4%程度上昇するなど、市場の動きはリスクオンに反応しやすい通貨の上げ幅が大きい。

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