海外市場でドル円は、日米金利差拡大への思惑からNY市場に入っても円売り・ドル買いの流れが続いた。米10年債利回りが一時1.55%台まで急伸したことを受けて、一時107.99円と昨年7月1日以来の高値を付けた。
ユーロドルは、パウエルFRB議長が講演でインフレ圧力の高まりに懸念を示さず、長期金利上昇の抑制策にも特に言及しなかったため、米長期金利が急上昇したことで、一時1.1962ドルと2月5日以来約1カ月ぶりの安値を付けた。
本日の東京時間のドル円は、引き続き堅調推移となるか。今週、バイデン米大統領が5月末までに米国の全成人にワクチンを供給できると発表したように、米国を中心に世界各国はパンデミック前の日常を取り戻そうとしている。その一方で、日本のワクチン接種件数は昨日4日時点で3万9174件しかない。ただでさえワクチンの確保が大幅に遅れた「負け国」の中でも、異常に少ない数値となっている。日本と同日の2月17日からワクチンの接種が始まった南アフリカが、すでに接種件数が7万件近くになっていることを考えると、日本は確保の遅れだけでなく、その普及率や接種率の低さも鮮明になっている。コロナ前も日本経済の停滞が指摘されていたが、経済の回復も多くの国より大幅に遅れることが予想されることで、日本売り・円売りという「悪い円安」が今後も続く可能性が高い。
中長期的な流れは日本売りで変わらないだろうが、ここ最近は一方的に円安が続いていることで若干の調整は入るかもしれない。特に本日は米国の2月雇用統計の発表もあり、指標前後では乱高下をする可能性には警戒したい。今週に入り米国から複数の雇用指標は発表されたが、ADP全米雇用報告などは本日発表される雇用統計との相関性は全くないことで、予想より弱かったADPと同様に雇用統計が悪化するとは限らないことは念頭に入れておきたい。
また、市場の不安要素の1つとしては、本日から中国全国人民代表大会(全人代)が開幕することがあげられる。バイデン政権になって以後も米中関係が悪化しているが、ここ最近は香港や新疆ウイグル自治区をめぐる人権問題を西側諸国が懸念していることで、全人代での中国の動きと、それに反発する米国などの動きは要注意となりそうだ。
ドル円以外の通貨もドル買いが昨日は鮮明だった。特にユーロ圏は金利高・通貨高に懸念を表明していることで、ユーロドルは上値が重くなるか。その一方で、ワクチン接種率が高い英国や、経済指標が好調なオセアニア諸国などの通貨は、比較的底堅い動きになる可能性もある。今後は金利上昇でドルが堅調推移も、各国の経済回復期待により通貨の取捨選択が、より分かれてくることになりそうだ。

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