海外市場でドル円は、バイデン氏の米大統領就任式を前に様子見ムードが広がる中、しばらくは103.80円を挟んだもみ合いの展開が続いた。ただ、米株式市場で主要3指数が史上最高値を更新するなど、株価が堅調に推移すると対資源国通貨中心にリスク・オンのドル売りが優勢になり103.45円まで値を下げた。
ユーロドルは、24時前に一時1.2077ドルと日通し安値を付けたが、1.2118ドル付近まで下げ渋った。カナダドルは、原油高やカナダ銀行(BOC)の政策金利据え置きを受けてカナダドル買いが入り、対米ドルでは一時1.2606カナダドル、対円では82.13円まで値を上げた。
本日のドル円もレンジを抜け出すのは難しいか。昨日は堅調な株式市場に支えられ、リスク・オンの円売りよりもドル売りが優勢となった。本日もバイデン米新大統領の就任式が、懸念された暴動やテロもなく無事に終わったことで、新政権へのご祝儀相場で株買いによるリスク・オンが予想される。欧州やオセアニア通貨は株買いに市場が傾いた場合は、リスク・オンのドル売りになるだろうが、ドル円はドル売り・円売りの両面の値動きにより明確なトレンドを作ることは難しそうだ。ドル円の上値は104.10円近辺から売りが観測され、下値も昨日に103.50円を割り込んだものの、103円前半を積極的に売り込むような地合いでもないだろう。
円のリスク要因としては日銀金融政策決定会合が本日まで行われ、本日会合後にサプライズがあった場合か。昨日の産経新聞は「日銀は大規模な金融緩和策の長期化を見据えて、金融政策の点検に乗り出した」「上場投資信託(ETF)や国債の購入手法の見直しが検討される公算が大きい」と報じている。しかし、14日の日銀支店長会議で、黒田日銀総裁は新型コロナウイルスの影響で落ち込む国内景気について「引き続き厳しい状態にあるが、持ち直している」とし、先行きは改善基調をたどるという見解を示した。多くの国民との判断とはかなりかい離を感じるが、改善基調をたどっているとしている現状で、新たな策を講じるのは14日の発言と見解が変わることでサプライズを期待するのは難しいか。
円以外の通貨は、本日はボラタイルに動く可能性がある。アジア時間では12月の豪雇用統計が発表される。週初には一部エコノミストが豪州とNZは他国よりも経済回復ペースが速く、豪失業率はすでにピークアウトし、「豪準備銀行(RBA)は4月には量的緩和を中止」「NZ準備銀行(RBNZ)は来年世界で最初に利上げを行う」という予測がオセアニア通貨買いを導いた。市場は雇用統計の結果には素直に動意づくことが予想される。なお、豪雇用統計は、1月4日からウイルス対策の1つとして支給されていたジョブキーパー制度が減額される前の数値であり、今後の失業率が変化する可能性もあることは念頭に置いておきたい。
欧州通貨は、先週の欧州圏の政治的な不安定さが、独・伊で一旦は収まっていることで、売りトレンドも弱まり方向感がなくなっている。本日は欧州時間に欧州中央銀行(ECB)定例理事会が行われるが、ラガルドECB総裁の会見が終わるまでは不安定な値動きになりそうだ。
また新興国ではトルコや南アが政策金利を発表する予定。両国とも現時点では据え置き予想が多い。

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