今週の新興市場では、マザーズ指数が厳しい展開を強いられた。日経平均は11月17日、およそ29年ぶりに26000円台を回復する場面があったが、この間バリュエーション水準の高い中小型株に売りが出てマザーズ指数を押し下げた。週後半になると国内外での新型コロナウイルス感染拡大を受けて日経平均は下落。任天堂<7974>などの「ウィズコロナ」グロース(成長)株が買われ、マザーズ指数もひとまず75日移動平均線水準で下げ渋ったが、直近値を崩した新興株の売りが続いたことで反発は鈍かった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+0.6%であったのに対して、マザーズ指数は-3.7%、日経ジャスダック平均は-0.4%だった。<br/><br/>個別では、マザーズ時価総額上位のメルカリ<4385>が週間で2.5%安、ラクス<3923>が同2.3%安と軟調。AI inside<4488>は好決算で急騰した反動がきつく、同25.2%安となった。売買代金上位でもBASE<4477>やメドレー<4480>といった従前の人気株が大きく値を崩し、Chatwork<4448>などが週間のマザーズ下落率上位に顔を出した。一方、フリー<4478>が同5.8%高、JTOWER<4485>が同13.9%高と堅調。JTOWERでは決算を受けた目標株価引き上げの動きが見られた。また、サイバーダイン<7779>などは大幅高となり、アライドアーキテクツ<6081>が上昇率トップとなった。ジャスダック主力ではハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同2.3%高、日本マクドナルドHD<2702>が同1.2%高としっかり。売買代金上位では不二精機<6400>が大きく買われ、アルファクス・フード・システム<3814>が週間のジャスダック上昇率トップとなった。一方、出前館<2484>は同2.4%安と軟調で、ウェッジHD<2388>などが下落率上位に顔を出した。IPOではアララ<4015>が公開価格の2.2倍となる初値を付けたが、従前のIPOと比べると伸びは鈍化した。<br/><br/>来週の新興市場でも、マザーズ指数の伸び悩みは続きそうだ。新型コロナ再拡大への懸念から日経平均の上昇は一服し、短期の値幅取り狙いの物色が再び新興株に向かう可能性もある。しかし、新興ハイテク株について「割高」「7-9月期は業績鈍化」などといったイメージが強まり、個別の業況やビジネスモデルも度外視で高バリュエーション銘柄全般に売りが出ている印象だ。年末にかけてIPOラッシュなどの需給悪化要因があり、年内いっぱい苦戦を強いられることも想定しておきたい。<br/><br/>いきおい物色は値動きの軽い小型材料株に向かいやすくなるだろう。ただ、マザーズ主力でもフリーやJTOWERのように政策期待などから比較的値持ちの良い銘柄がある。また、GMOフィナンシャルゲート<4051>のように機関投資家の買いが観測された銘柄には物色の矛先が向かっている。目先はこうした需給重視での銘柄選別が強まりそうだ。<br/><br/>IPO関連では、11月25日にMITHD<4016>、26日にジオコード<7357>、27日にクリーマ<4017>が新規上場する。ジャスダック上場のMITHDとジオコードはIT系で公開規模も軽量感のある水準。対してマザーズ上場のクリーマはファンドによる売出規模がやや大きいものの、ハンドメイドマーケット運営という時流に乗るビジネスを手掛ける。なお、今週はウェルスナビ<7342>(12月22日、マザーズ)など12社の新規上場が発表され、12月IPOは現時点で既に24社に上っている。<br/><br/><br/>

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