先週末のNY外国為替市場でドル円は、トランプ米大統領がツイッターに「中国との合意に関するWSJの記事、特に関税に関する部分は完全に間違っている」と投稿すると株価の失速とともに円買い・ドル売りが活発化し109.25円付近まで下押しした。
しかし、中国商務省が「米国と貿易協議の第1段階合意に達した」との声明を発表すると、一時109.63円付近まで買い戻された。ダウ平均も一時150ドル超上昇する場面があった。
もっとも、米下院司法委員会がトランプ大統領弾劾訴追案を巡る採決を実施し、権力乱用と議会妨害の弾劾条項を賛成多数で可決したと伝わると米国株が一転下落。不安定な値動きに。日経平均先物やドル円にも売りが出て一時109.21円付近まで値を下げた。
ポンドドルは上げ幅を縮めた。12日に実施された英総選挙は与党・保守党の圧勝し、アジア市場では一時1.3514ドルと2018年5月18日以来約1年7カ月ぶりの高値まで急伸していた。海外時間に入ると急ピッチで上昇した反動で利食い売りなどが優勢となり、一時1.3306ドル付近まで下押しした。
本日の東京市場のドル円は、109円台で堅調に推移するもののレンジ取引か。米中通商協議の第1弾合意により、当面の米中貿易戦争が回避・休戦されたことは為替市場にとってはリスク・オンになり、ドル円の買いを促すことになるだろう。
しかしながら、来年にかけて米中間の争いは米大統領選やトランプ大統領の弾劾をめぐる動きなど、様々な政治的な要因で複雑化すため、予断を許さない状況は変わらない。
トランプ大統領はドル高に対して強い懸念を抱えていることもあり、ドル円の上昇局面でリスクヘッジの売りは依然として根強く出てくることで、レンジを大きく広げるのは難しいだろう。
また、為替市場全体を通してみると、先週末に米中間の通商交渉の進展と英総選挙という大きなイベントを通過し、今週から欧米の市場参加者が徐々にクリスマス休暇を取得し始め、宴の後という状況に入り始めた。
ポンドはまだボラタイルに動きそうだが、流動性が減少してくることを考えると、市場は年末までレンジが限られてくることになりそうだ。
本日の経済指標では、日本時間の11時に発表される中国の鉱工業生産と小売売上高に注目したい。特に豪州は中国への経済依存度が高いことで、豪ドルの動きには要警戒だ。また、豪州は19日に雇用統計の発表を控えていることもあり、豪ドルは今週もう一波乱あるかもしれない。
ポンドは引き続き、離脱問題がジョンソン英首相の思惑通りに進むかも未知数なため、今後の政治的な動向には注意したい。また、欧州時間に入ると欧州圏から各種PMI速報値の発表もあることで、欧州通貨の動きが活発になりそうだ。

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