11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、FOMC声明文から「不確実性」との文言が削除されたことで108.77円付近まで強含んだ後、政策金利見通し(ドットチャート)で来年の金利据え置きが示され、パウエルFRB議長が「物価の持続的な上昇を確認するまでは利上げの可能性は低い」と述べたことで108.47円まで反落した。ユーロドルは1.1070ドルから1.1145ドルまで上昇した。
本日の東京市場のドル円は、15日に発動予定の対中制裁関税第4弾(約1600億ドル・15%)を控えて関連する報道に警戒する展開となる。
米連邦公開市場委員会(FOMC)では、声明文から「不確実性」との文言が削除されたことはタカ派要因だが、ドット・プロット(金利予測分布図)で来年の金利据え置きが示され、パウエルFRB議長が「物価の持続的な上昇を確認するまでは利上げの可能性は低い」と述べたことはハト派要因となり、ドル売りがやや優勢となっている。
ナバロ米大統領補佐官は、「15日の対中追加関税を延期させるかは大統領が決める。その決定はまもなくされるだろう」と述べたが、トランプ米大統領は、本日通商交渉チームと協議すると報じられており、予想されるシナリオは以下の通りとなる。
メインシナリオは、ダウ平均は史上最高値圏、日経平均株価は年初来高値圏、ドル円も108円台で堅調に推移していることで、米中通商「第1段階」の部分合意到達だと思われる。予想通りに部分合意に到達した場合、クリスマス前という日柄要因と「思惑で仕掛けて事実で手仕舞え」との相場格言から、株買い・円売りポジションの利食い、すなわち、日米株売り・ドル円の売りが予想される。
リスクシナリオ(1)としては、関税率の引き下げや関税撤回の範囲が合意に至らないことで継続協議となり、15日の対中制裁関税第4弾の発動が延期されるパターンとなる。この場合も、クリスマス前の株買い・円売りポジションの利食いが予想される。
リスクシナリオ(2)としては、米議会による「香港人権・民主主義法案」と「ウイグル人権法案」の可決を受けて、中国政府が警告した通りの報復措置を打ち出し、米中通商協議が決裂した場合となる。この場合は、合意を想定していた株買い・円売りポジションの手仕舞いに加えて、株売り・円買い持ちポジションへの転換となることで、株安・円高への値動きが深まることが予想される。
ドル円の下値を支える年末季節要因としては、米国企業の海外利益の本国還流(レパトリエーション)や年末・年始のドルファンディングなどに伴うドル買い需要となる。
ドル円の注目水準は以下の通りとなる。・109.71円:ダブル・トップ(112.14円・112.40円)のネック・ライン・109.08円:日足一目均衡表・転換線(過去9日間の中心値)・108.99円:日足一目均衡表・基準線(過去26日間の中心値)・108.80円:200日移動平均線・108.68円:9月調査日銀短観大企業・製造業2019年度想定為替レート・108.43円:2019年の変動幅(高値112.40円・安値104.46円)の中心値 ユーロドルは、本日のラガルドECB総裁初の欧州中央銀行(ECB)理事会を控えて動意に乏しい展開が予想され、ポンドドルは、本日の英総選挙を控えて動意に乏しい展開が予想される。

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