ビットコイン(BTC)の価格を予想するうえで重要なデータにハッシュレートがある。ハッシュレートとは「採掘(マイニング)速度」ともいわれており、ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)をマイニングする際の採掘の速さを表したものである。1秒間に何回計算が行われるかを示しており、ハッシュレートが高いということは処理する速度が速い、つまり処理能力が高いという意味合いとなる。ハッシュレートが高くなる要因にマイニング参加者の増加が挙げられる。マイニングをしたいと思う人が増えれば増えるほど、ハッシュレートは高くなっていく。暗号資産に対する技術者の関心度を確認できることから、ハッシュレートは重要性の高いデータといえよう。<br/><br/>ハッシュレートは、長期的に見ると右肩上がりに推移している。これはマイナーの参加意欲が旺盛なことのほか、マイニングマシンの性能向上も影響している。2017年以降のハッシュレートとビットコインの相関係数を計算したところ、0.43とさほど目立った方向性は確認できなかった。一方、短期的な目線で各年の相関係数を見ると、17年は0.90と非常に強い正の相関、18年は−0.63と強い負の相関、そして、19年以降は0.61と強い正の相関とそれぞれ方向性が確認できる。要は相関を見るということが役に立たないということだ。<br/><br/>一方、ハッシュレートはビットコインのファンダメンタルズの一部を表すデータであり、暗号資産の関係者からは「見方によっては、ハッシュレートがビットコインの下値サポートラインになる」との考え方も聞かれる。足元のハッシュレートの水準から分析をすると、ビットコインの妥当価格は10,000ドルとなり、現在7,000ドル台で推移するビットコインは割安と考えることもできよう。<br/><br/>なお、来年2020年5月初旬に、ビットコインは歴史上3回目の半減期を迎える。マイナーが獲得するビットコインが半分になることから、マイナーの関心度がデータとして現れるハッシュレートに注目が集まろう。ただ、今年の8月に半減期を迎えたライトコインのケースを確認すると、半減期を迎えたタイミングでハッシュレートは低下したが、ほぼ1日で半減期前のハッシュレートの水準まで回復し、市場で懸念されたマイナーの廃業も起こらなかった。ビットコインよりも市場規模が小さいライトコインということで単純な比較はできないが、半減期という話題だけが先行しハッシュレートの低下は一時的なものに留まるとの見方もある。<br/><br/>

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