11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米中貿易協議をめぐる楽観論の後退や、香港情勢の悪化を懸念した売りで108.90円まで軟調推移。ユーロドルは1.1043ドルまで堅調推移。ポンドドルは、保守党が総選挙に勝利し、EU離脱をめぐる混迷に終止符が打たれるという期待感から1.2898ドルまで上昇した。
本日の東京市場のドル円は、香港情勢や今夜予定されているトランプ米大統領のニューヨーク・エコノミッククラブでの講演への警戒感から上値が重い展開が予想される。
先週8日、トランプ米大統領は「中国は関税の撤回(ロールバックrollback)を望むだろうが、完全な撤回ではない。私がそれには応じないことを中国は知っているからだ」と述べ、週末には、ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)も「米中間の既存の関税の撤回(ロールバックrollback)はない」と述べていることで、「撤回(ロールバックrollback)」が警戒ワードとなっている。
昨日は、香港警察がデモ隊に向けて実弾を発砲したことで、武力鎮圧への警戒感が高まっており、米国議会も「香港人権・民主法案」を可決していることで、米中通商協議が先送りされる可能性に要警戒となる。
トランプ米大統領は、以前、香港での抗議デモを巡り、「中国による暴力的な鎮圧を望まない。中国が香港でのデモを鎮圧するために何か悪いことをすれば、米国との貿易協議に影響が出るだろう」と警告しており、本日の講演での言及に要警戒か。
参考までに、1989年6月4日の天安門事件では、ドル円は141円付近から151円台まで約10円強上昇、日経平均株価は、33000円台から32000円台まで1000円(3%)の下落となっている。中国の政治リスクは、「有事のドル買い」となり、人民元(オフショア)市場が無かったことで、人民元売りの代わりに、「リスク回避の円売り」となった。現在では、中国の政治リスクは、米中貿易・通貨安戦争の激化となることで、リスク回避の円買い要因となるのかもしれない。
また、明日13日から、米下院情報特別委員会が国務省高官3人の公聴会を開催するが、内容次第では、トランプ米大統領にとってマイナスとなる可能性に要警戒か。
さらに、明日13日は、トランプ米大統領が「1962年通商拡大法232条」による自動者関税の発動を決断する期限だが、ロス米商務長官は先送りの可能性を示唆しており、半年先送りの公算(ポリティコ)と報じられている。
13-14日にはパウエルFRB議長の議会証言(13日:両院合同経済委員会、14日:下院予算委員会)が予定されているが、10月30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見内容と同じと予想されている。

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