8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ米大統領の発言「対中関税撤回でまだ何も合意していない。中国が関税撤回を望んでいる」を受けて米中貿易協議を巡る楽観的な見方が後退し、109.48円から109.08円まで反落した。ユーロドルは10日のスペイン総選挙への警戒感から1.1017ドルまで弱含み。ユーロ円も120.22円まで連れ安に推移した。
本日の東京市場のドル円は、トランプ米大統領が対中制裁関税撤回で合意していない、と発言したことで上値が重い展開が予想される。
先週7日、中国商務省報道官が「過去2週間にわたり通商交渉担当者は建設的な協議を行い、追加関税を段階的に撤回することで一致した」と述べたことで、リスク選好地合いとなり、ダウ平均は史上最高値を更新、日経平均株価も年初来高値を更新し、ドル円も109.49円まで上昇した。しかし8日に、トランプ米大統領が「中国は関税の撤回を望むだろうが、完全な撤回ではない。私がそれには応じないことを中国は知っているからだ」と述べたことで、ダウ平均とドル円は伸び悩む展開となった。
ナバロ米大統領補佐官(通商製造政策局長)は、7日に、「第1段階の合意の条件として既存の関税を撤回する合意は現時点でない。その決定を下せるのはトランプ大統領のみだ」と述べていた。8日には、米中が関税の段階的撤廃で合意したという情報を巡り、記者が中国の「プロパガンダ」に踊らされた、米中通商交渉に関する報道の多くが匿名筋に頼っていると批判し、トランプ米大統領とライトハイザー通商代表部(USTR)代表の発言のみを採用するべきと強調した。
確かに、中国商務省報道官の発言は、中国語の段階では、制裁関税の段階的な撤廃に関して、「条件」付きだったが、英語に訳された段階では、「条件」が緩和されていたことで、中国側のプロパガンダだった可能性が高かったと思われる。本日も、対中制裁関税撤回の関する発言や報道を、丹念に見極めていく展開となる。トランプ政権による対中制裁関税は以下の通りとなっている。・第1・2・3弾(約2500億ドル・25%)・第4弾:9月1日 約1120億ドル・15%・第4弾:12月15日 約1600億ドル・15% 今週の13日は、「通商拡大法232条」による自動車関税発動の期限だが、ロス米商務長官は先送りの可能性を示唆していることで、リスク回避後退要因、下院委員会が主導する大統領弾劾調査が開催されることは、リスク回避要因となる。

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