NY外国為替市場でドル円は、7月米卸売物価指数(PPI)コア指数が予想を下回ったことを受けて円買い・ドル売りが先行。トランプ米大統領が「華為技術(ファーウェイ)と取引するつもりはない」「9月の中国との会合はキャンセルの可能性もあり得る」などと述べると、米中貿易摩擦激化への懸念から売りが加速した。
トランプ大統領がFRBに1.00%の利下げを要求したことも相場の重しとなり、一時105.27円と1月3日以来約7カ月ぶりの安値を付けた。
ただ、一時は280ドル超下落したダウ平均がプラス圏を回復し、米10年債利回りが上昇に転じるとドル円にも買い戻しが入り105.71円付近まで下げ渋った。
ユーロドルは、サルビーニ伊副首相(同盟党首)が8日に早期の解散総選挙を要求したほか、極右「同盟」が9日に内閣不信任案を提出。同国への政治混乱への懸念から、欧州市場では一時1.1180ドルまで売られた場面があった。しかし、トランプ大統領が米中貿易交渉は継続するものの、「当面の合意はない」との考えを明らかにしたほか、FRBに大幅利下げを要求すると全般ドル売りが進行。1時30分前に一時1.1223ドルと日通し高値を付けた。
本日の東京市場のドル円は、狭いレンジながらも上値の重い展開が続くか。本日は東京市場が山の日の振替休日で休場なだけではなく、シンガポール市場もハリラヤハジの振替休日で休場となることで、市場取引は閑散となりそうだ。
懸念された1月3日のようなフラッシュクラッシュなどは現時点では起きていないが、流動性が低いため急な動きには警戒したい。
本日の取引材料としては、ドル円は買い材料よりも、売り材料のほうが圧倒的に多い。先週末もトランプ米大統領がFRBに対して利下げ圧力を高めただけではなく、ドル高で自国製造業が不利になることに言及した。
日米通商協議の合意が期待される中で、ドル安になるようなことを日本側から行うのも難しく、ドル円の上値を抑えるだろう。また米中為替戦争、中東情勢、欧州不安、香港デモの大規模化など、地政学リスクなども円買いに結びつく。
米中為替戦争では、本日も中国人民銀行が10時15分頃に公表する外国為替市場での人民元取引の基準値に注目が集まるだろう。
ドル円以外では、オセアニア国も主だった経済指標の発表もないことで、注目は欧州通貨に集まりそうだ。
欧米市場も本日は主だった経済指標の発表はないが、イタリア政権をめぐる攻防でイタリア債が乱高下していることで、欧州入り後はイタリアを中心としたニュースヘッドラインや債券の動きをにらみながらの展開になりそうだ。
また、マイナス成長となった英国の通貨ポンドの動きも警戒したい。先週末は対ドルで1.2025ドルまで下落し年初来安値を更新しているが、心理的節目の1.2000ドルを巡るテクニカルの攻防にも気をつけたい。
新興国通貨では、南ア・ランド円が朝方の取引が薄いオセアニア時間に6.87円近辺まで下落し、年初来安値を更新している。閑散とした市場の中で乱高下に動く可能性もありそうだ。

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