18日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、7月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数21.8を受けて108.02円まで上昇後、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁やクラリダFRB副議長のハト派発言を受けて月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.50%の利下げ確率が急上昇したことで107.21円まで下落した。ユーロドルは1.1281ドルまで上昇した。
本日の東京市場のドル円は、7月30-31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での予防的利下げ確率が65.5%まで上昇していること、イランと米国の軍事衝突の可能性が高まっていることなどで続落が予想される。
ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は「積極的に予防的なアプローチをとるほうが良い。現在、米国の中立金利は0.5%程度と予測」と述べた。NY連銀は「ウィリアムズ総裁の発言は、学術的内容であり次回FOMCにおける政策行動に関するものではない」と表明している。
中立金利が0.50%程度だとすれば、期待インフレ率は1.7%程度なので、中立金利水準は、2.2%付近となり、現在の政策金利であるFF金利誘導目標(2.25-2.50%)を下回っていることで、金融政策は引き締め気味となり、0.50%程度の利下げが必要となる。
また、6月のNY連銀米国景気後退確率指数が32.9%まで上昇しており、30%を超えた場合、過去7回のリセッション(景気後退)の先行指標となっていることで要警戒か。
パウエルFRB議長は、昨年秋までは2.85-3.00%と想定されていた中立金利水準には「まだ距離がある」として2018年12月のFOMCで第9次追加利上げ(2.25-2.50%)を断行した。しかし、今年になってからは、中立金利水準の下限は2.50%程度に低下したとして、「忍耐強く」なるとして利上げ路線を停止し、6月には「適切に行動」するとして予防的利下げを示唆している。議会証言では、過去4年間の政策の誤りを認め、米経済の変化を過小評価していたがために過度の金融引き締めがあった可能性を認めている。
米中通商協議に関しては、今週の電話会談が生産的ならば、再開することが示唆されていたものの、現時点では再開されるとの報道はない。
2019年1-6月の中国の対米貿易黒字は、1404.8億ドルとなり、昨年同時期の1337.6億ドルから5%程度増加している。
日米通商協議に関しては、参議院選挙後の8月に再開されて9月の日米首脳会談での一部合意の可能性が報じられている。
2019年1-6月の日本の対米貿易黒字は、3.459兆円となり、昨年同時期の3.151兆円から10%程度増加している。
トランプ米大統領が保護貿易主義の観点から貿易戦争に乗り出したにも関わらず、米国の貿易赤字は増加傾向にあり、2020年秋の米大統領選挙に向けて、「貿易戦争」に加えて「通貨安戦争」に乗り出す可能性、すなわち、米国によるドル売り介入の可能性に要警戒なのかもしれない。しかし、ムニューシン米財務長官は、G-7財務相・中央銀行総裁会議で「現時点でドル政策に変更はない」と述べている。

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