10日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の米下院金融サービス委員会での証言「米景気拡大を支えるため適切に行動する用意がある」を受けて108.35円まで下落した。ユーロドルは1.1264ドルまで上昇、ユーロ円は122.32円まで上昇した。
本日の東京市場のドル円は、パウエルFRB議長が議会証言で世界経済の減速や貿易問題への警戒感から「適切に行動する」と利下げへの意欲を示唆したことで軟調推移が予想される。
パウエルFRB議長の利下げ示唆を受けて、7月30-31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率は、0.25%が24.5%、0.50%が75.5%となっており、年末に向けた追加利下げへの警戒感もドル円の上値を抑える要因となる。
グリーンスパン第13代FRB議長は「金融政策をよく表す特徴は『不確実性』だ」と語っていたが、パウエルFRB議長は議会証言で26回も「不確実性」を連呼したことで、利下げへの転換は、トランプ米大統領による利下げ要請ではなく、米中貿易戦争や中東の地政学リスクを巡る「不確実性」にあると弁明した。
すなわち、史上最長の景気拡大期の中で、失業率は歴史的な低水準となり、ニューヨーク株式市場が史上最高値を更新する環境下での予防的利下げの理由は、米連邦準備理事会(FRB)の伝家の宝刀である「不確実性」にあることになる。
ドル円の上値を抑える「不確実性」要因としては、イラン情勢を巡る地政学リスクや休戦中の米中通商協議の難航懸念、来月の日米通商協議への警戒感、そして、トランプ米大統領が「為替操作ゲーム」を傍観することは間抜けとしてドル売り介入の可能性を示唆していることなどが挙げられる。
ドル円のテクニカル分析での攻防の分岐点は、1月3日のフラッシュ・クラッシュ時の安値104.87円からダブルトップ(112.14円・112.40円)の高値までの半値押し108.64円、一目均衡表・転換線の108.26円となる。
オーダー状況は、108.50円に本日のNYカットオプションが控え、上値には109.00円にはドル売りオーダー、超えるとストップロス買いが控え、NYカットオプションが控えており、下値には108.30円と108.00円にドル買いオーダー、108.20円割れにはストップロスが控えている。

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