NY外国為替市場でドル円は続落した。5月米雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比の伸びが市場予想を大きく下回ったほか、物価上昇の先行指数として注目される平均時給も弱い内容となった。米連邦準備理事会(FRB)による早期利下げ観測が一段と強まり、全般ドル安が進んだ。
米10年債利回りが一時2.0517%前後と2017年9月8日以来約1年9カ月ぶりの低水準を付けたことも円買い・ドル売りを促し、22時前に一時107.88円と日通し安値を付けた。ただ、米国株相場の上昇や米長期金利の低下幅縮小も相場の下支え要因となり、108.26円付近まで戻す場面があった。
ユーロドルは、低調な米雇用統計をきっかけにFRBが早期に利下げするとの観測が強まると一転ユーロ買い・ドル売りが優勢になり、一時1.1348ドルと3月22日以来の高値を付けた。
カナダドルは、5月カナダ雇用統計が好結果だったことで強含んだ。原油先物価格の上昇を背景に産油国通貨とされるカナダドルを買う動きも見られ、対米ドルでは一時1.3262カナダドルと3月20日以来の高値を更新。対円では81.58円と5月30日以来の高値を付けた。
本日の東京市場のドル円は、週末にトランプ米大統領がメキシコからの全輸入品に対する関税発動を見送ったことで、ドル買い材料はあるものの、リスクオフ相場は継続するか。
週末、大統領自身のツイッターで発表されたメキシコ関税見送りだが、市場が閉まっていたこともあり、市場は冷静に今回の対応を分析する時間があった。
関税見送り自体はドル買い、株買いでリスクオンになるニュースだったが、各国の報道は大統領に対して厳しい論調が多い。NYタイムズ紙やワシントンポスト紙は「自作自演」との厳しい論調。また、大統領がツイートした農産物輸入の合意に、メキシコ側が「全く合意していない」と述べている。
突如としてメキシコへの制裁を発表したが、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表やムニューシン米財務長官など政権の中枢メンバーや、多数の共和党党員が反対しているため、慌てて修正して合意したという各紙の報道が正しい可能性が高い。
また、合意事項では「不法移民の抑制効果が出ない場合は再度、協議を実施する」としているように、実際の今回の合意が何をもたらすか未知数だ。
ドル円の買い材料は、本日はゴトー日(5・10日)で、東京仲値にかけてドルが買われる可能性が高い。特に本日は投信の設定が複数控えていることもあり、仲値や投信の設定時間などでいびつな動きになることに警戒したい。
ドル売り材料は、週末にサウジアラビアが「ファーウェイを排除せず」と発表したこと、香港での大規模デモなど、仮に米墨間の国境問題が解決されても国際情勢の不安が解消されることはなく、リスクオフ相場が続きそうだ。
ドル円以外では、東京時間ではドル円やクロス円に左右されることになるだろうが、欧州入り後に4月の英国内総生産(GDP)が発表されることで、ポンドの動きには警戒したい。先週6日、ピーターバラの選挙で与党・保守党が敗北したこともあり、保守党の党首選をめぐる攻防もポンドを動意づけることになりそうだ。

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