NY外国為替市場でドル円は、欧州株や日米株価指数先物の下落を受けて、リスク回避的な売りが先行し21時過ぎに一時109.50円まで値を下げた。
トランプ米大統領が「対日本・EUの自動車関税措置を少なくとも180日間延期する」との見解を示すと、日米の貿易摩擦に対する懸念が後退し円売り・ドル買いが活発化した。
5月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)速報値が市場予想を上回ったことも相場の支援材料。アジア時間の高値110.03円を上抜けると目先のストップロスを誘発し、一時110.19円まで上値を伸ばした。
ユーロドルはユーロ圏の景気減速やイタリア財政問題などの懸念でユーロ売りが出やすかったうえ、良好な米経済指標を手掛かりにユーロ売り・ドル買いが進んだ。
カナダドル円とメキシコペソ円は堅調。「トランプ米政権はカナダ、メキシコに課す鉄鋼とアルミニウムの追加関税を撤廃することで両国と合意した」との報道をきっかけにカナダドルとメキシコペソを買う動きが先行。カナダドル円は一時81.97円、ペソ円は5.76円まで値を上げた。
本日の東京市場のドル円は、シンガポールがベサックデイの振替休日で休場ということもあり、110円を挟んだレンジ取引になりそうだが、中国が対米通商交渉で強気姿勢を崩していないことで上値も限られるか。
自動車関税措置の延期発表でドル円は買い戻されたが、元々その措置は米政府高官筋からリークがあったため驚きはない。
先週金曜日の動きは、ドルのショート・ポジションの巻き戻しと考えられる動きだったが、先週末に発表された商品先物取引委員会(CFTC)が発表するドル円の先物のみのポジション状況は、5月14日現在で依然として円ショートは縮小しているが、まだショートなため円買いの余地はありそうだ。
週末の中国からの報道では、王毅中国外相がポンペオ米国務長官との電話会談で「通商問題で米国は行き過ぎた行為を自制するべきだ」と発言したと報道されている。
中国側からこのような発言が出ることは、米大統領をはじめとした米政権の強気な態度に対して、中国は妥協する姿勢がないこともあらわしていると言えるだろう。米中の貿易戦争の解決の糸口が見えないことで、ドル円の上昇局面では売り意欲は当面は引きそうもない。
東京時間で注目される経済指標は本邦の1-3月期実質国内総生産(GDP)速報値になる。本邦の経済指標で為替市場が動くことは最近では少ないが、もし市場予想と大幅に結果が異なればドル円も動く可能性がある。なお、市場予想は前期比で±0.0%、前期比年率では-0.2%となっている。
もしネガティブサプライズになった場合は、消費税の引き上げ延期などの話が出てくることになりそうだ。
ドル円以外では豪ドルの動きに警戒したい。与党・自由党連立政権は労働党に対して2017年8月から一度も世論調査でリードしたことが無く、直前の世論調査でもどの調査機関も少なくとも2ポイントの差で労働党が勝っていたため、与党の勝利は「まさか」で、想定外の結果となった。
オセアニア市場では、豪ドルは与党の勝利で窓を開けて上昇して始まった。しかし、先週発表された失業率も悪化したこともあり、豪準備銀行(RBA)の利下げ圧力が増しているため、豪ドルは神経質な動きになりそうだ。
欧州通貨は23日からはじまる欧州議会選挙、英国のブレグジット問題など政治的な動きで上値が重く推移している。東京時間で大きく動くのは難しいだろうが、欧州入り後は乱高下する可能性もあり注意したい。
また、オーストリアもロシアとのスキャンダルで連立維持が難しくなったため、解散総選挙になった。欧州の政治状況からはしばらく目が離せないだろう。

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