16日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、良好な米経済指標、ダウ平均や米10年債利回りの上昇を受けて109.97円まで上昇した。ユーロドルは、良好な米経済指標やユーロ圏の景気減速やイタリア財政問題などの懸念で1.1166ドルまで下落した。
本日の東京市場のドル円は、ニューヨーク市場での堅調地合いや日経平均株価の反発が予想されることで続伸が予想されるものの、米中通商戦争、米為替政策報告書、朝鮮半島や中東の地政学リスクなどへの警戒感から上値は限定的か。
ドル円のテクニカル分析では、ダブル・トップ(112.14円・112.40円)を形成後、200日移動平均線を下抜けて「三役逆転」となり、窓(111.07円・110.96円)を空けて、ネック・ライン109.71円を下回ったことで、下値目標値107.02円を目指す下落トレンドを形成している。ネック・ラインを上回って引けているものの、110円台にも重要な抵抗帯が控えている。・110.32円(日足一目均衡表・雲の下限)・110.96-111.07円(3-6日の窓) また、日経平均株価もダブル・トップ形成、200日移動平均線を下抜けて窓を空けて下放れた後に、昨日「三役逆転」の売りの時代に入っており、本日は、雲の下限21087.85円の攻防に要注目となる。
今週の景気判断の「悪化」(=景気後退の可能性)に続き、来週月曜日に発表される日本の1-3月期実質国内総生産(GDP)・速報値は、前期比年率▲0.2%のマイナス成長が予想されており、5月月例経済報告で景気後退が確認され、6月調査の日銀短観が悪化傾向を継続していた場合、10月の消費増税(8%⇒10%)の先送り観測が高まることになる。
ドル買い材料としては、日米通商交渉が7月の参議院選挙後に先送りされていること、自動車関税の発動が最長6カ月延期される可能性(米政府高官筋)などが挙げられる。
ドル売り材料としては、米中通商戦争への警戒感、中国による米国債売却の可能性、米財務省の為替報告書での円安けん制、などが挙げられる。為替報告書に関しては、昨年4月のような「円は過去20年の平均よりも約25%安い」「2013年以降の円安は日銀の量的金融緩和が要因」などの円安けん制に要警戒となる。
朝鮮半島や中東の地政学リスクへの警戒感も、リスク回避の円買い要因となる。北朝鮮は2017年以来となる短距離ミサイルの発射実験を再開しており、イランによる中東の米軍基地への攻撃の可能性を受けて、トランプ米政権が空母打撃群をホルムズ海峡に派遣し、在イラク公館職員に退避命令を出したことで、緊迫感が高まりつつある。

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