14日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米中貿易摩擦激化への警戒感が後退したことで、109.44円から109.71円まで強含みに推移した。ユーロドルは、欧州時間に発表された5月独ZEW景況感指数の悪化やイタリア財政問題への懸念から1.1201ドルまで下落した。ポンドドルは、EU離脱を巡る英政局の混乱やメイ英首相の退任への警戒感から1.2904ドルまで下落した。
本日の東京市場のドル円は、米中通商摩擦への警戒感、トランプ米大統領の自動車関税の決断、為替政策報告書、朝鮮半島や中東の地政学リスクなどへの警戒感から伸び悩む展開が予想される。
ドル円のテクニカル分析では、ダブル・トップ(112.14円・112.40円)を形成後、窓(111.07円・110.96円)を空けて、ネック・ライン109.71円を下回ったことで、下値目標値107.02円を目指す下落トレンドを形成しており、ネック・ラインが攻防の分岐点となる。
本日は、中国4月中国鉱工業生産(予想:前年比+6.5%)と中国小売売上高(予想:前年比8.6%)が発表されるが、米国による第3弾の追加関税引き上げ発表前の数字のため、ネガティブサプライズにのみ要警戒となる。また、今夜は、米国4月の小売売上高(予想:前月比+0.2%)が発表されるが、ネガティブサプライズへの警戒感が高まっていることも、ドル円の上値を抑える要因となる。
米中通商協議は、米国側の対中制裁関税(第1・2・3弾の2500億ドル+第4弾3000億ドル)と中国側の報復関税により激化の様相を呈しつつあり、6月28-29日の米中首脳会談に向けて、関連するヘッドラインに警戒する展開となる。
リスクシナリオは、中国が報復措置として示唆している保有米国債の売却の可能性、米国の景気減速懸念を受けたパウエルFRB議長の「パウエル・プット」の発動などを想定しておくべきか。
トランプ米大統領は、5月18日に「通商拡大法32条」に基づく安全保障の観点から、輸入自動車への関税適用の是非を判断する予定となっている。4月の日米首脳会談では、本格的な貿易交渉は、7月の参議院選挙後に先送りされた模様で、自動車関税の適用判断も180日程度の先送りされる可能性が報じられているものの、米中通商協議が難航していることで、自動車関税の賦課決定というネガティブサプライズに要警戒となる。
また、毎年4月中旬に発表されている米財務省の為替報告書は、米中通商協議に合わせて発表が先送りされており、今週の発表に要警戒となる。昨年4月の為替報告書では、「円は過去20年の平均よりも約25%安い」と指摘されており、対日自動車関税25%や、「為替条項」に絡んで要警戒となる。
北朝鮮が2017年以来となる短距離ミサイルの発射実験を再開したこと、イランによる中東の米軍基地への攻撃の可能性を受けて、トランプ米政権が空母打撃群をホルムズ海峡に派遣したことも、地政学リスク回避の円買い要因となる。

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