9日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米中貿易摩擦の激化懸念からダウ平均が450ドル近く下落、米長期金利の低下を受けて109.47円まで下落した。しかし、トランプ米大統領が「習・中国国家主席と電話会談を実施する可能性がある。米中合意について素晴らしい代替案がある。今週中の中国との合意は依然として可能」と述べるたことで下げ渋る展開となった。ユーロドルは1.1251ドルまで上昇した。
本日の東京市場のドル円は、米中通商協議が合意に至るのか、それとも決裂して、午後1時1分(米国東部時間10日午前0時1分)にトランプ米政権による対中制裁関税引き上げが断行されるのかを見極める展開となる。
トランプ米政権は、米中通商協議が合意に至らなかった場合、10日の米国東部時間午前0時1分(日本時間午後1時1分)に、中国からの輸入品2000億ドルに対する輸入関税率を10%から25%に引き上げると警告している。そして、中国は、その1分後に報復関税を発動する、と警告していることで、米中貿易戦争の休戦が終わることになる。・4月29-30日:北京で米中通商協議・5月3日:中国が、知的財産・企業秘密の保護、技術の強制移転などの分野で法律を改正するとの約束を撤回した合意文書を米国に提示・5月5日:トランプ米大統領が、中国は約束を破った、として、10日から対中関税引き上げ(2000億ドル:10%⇒25%)を警告・5月9-10日:ワシントンで米中通商協議 予想されるリスクシナリオは以下の通りとなる。1)合意に到達する トランプ米大統領は、「中国に関しては心配無用。全て上手くいく」「習中国国家主席と電話会談を実施する可能性がある。米中合意について素晴らしい代替案がある。今週中の中国との合意は依然として可能」と述べている。2)制裁関税は引き上げるが、通商協議は継続する 中国側は、知的財産・企業秘密の保護、技術の強制移転などの分野で法律を改正するとの約束を撤回している。法律改正を受け入れるには、中国政府内での協議の時間が必要なことで、とりあえず2000億ドルに対する25%関税を受け入れて、撤廃に向けた協議を継続する。トランプ大統領も、2020年11月の米大統領選挙に向けて、米中貿易戦争よりも米中通商合意の方が再選の確率は高まることになる。3)交渉決裂で米中貿易戦争再開 中国側が法律改正を拒否して米中通商協議は決裂し、米国が対中制裁関税を引き上げ、中国も報復措置を発動する。最悪の措置は、保有米国債の売却となる。4)関税引き上げを延期して、通商協議は継続する 5日のトランプ米大統領の関税引き上げのツイートは、中国が法律改正の約束を破棄したことに対する怒り「中国は約束を破った」から発せられたものだった。中国側に法律改正の意図が無ければ、劉鶴中国副首相がワシントンへ出向くはずがないことで、合意文書案の修正を撤回し、法律改正に同意する可能性が高い。

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