8日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ米大統領発言「劉中国副首相は通商協議を修復させるプランを持っている」を受けて110.27円付近まで強含んだものの、中国商務省の声明「米国の対中関税が発効すれば、中国は報復措置を講じる可能性がある」を受けて109.97円付近まで反落した。ユーロドルはロンドンフィキシングに向けた買いで1.1214ドルまで強含んだ後に、米長期金利の上昇で1.1183ドルまで反落した。
本日の東京市場のドル円は、米中貿易戦争の停戦終了まで約29時間となる中、中国4月の物価指標を見極めながら、本日から明日にかけてワシントンで開催される米中通商協議に関連するヘッドラインに警戒する展開となる。
トランプ米大統領とライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、米中通商協議が合意に至らなかった場合、10日金曜日の米国東部時間の午前0時1分(日本時間10日午後1時1分)に、2000億ドルの輸入品に対して対中制裁関税を10%から25%に引き上げると警告している。そして、中国は、その1分後に報復関税を発動する、と警告している。
米中通商協議の論点は、中国が知的財産権を巡る法改正に応じるか否かとなる。また、中国の1-4月の対米貿易黒字は836.6億ドルとなり、昨年同時期から増加しており、トランプ米大統領の心証を悪化させる可能性にも要警戒か。
中国の報復措置として保有米国債の売却が警戒されているが、昨日の米国債入札は、中国の不参加により不調に終わっており、米10年債利回りの上昇に繋がっている。
米中通商協議で合意に達する確率は、JPモルガン・チェースのダイモン最高経営責任者は80%、ダブルライン・キャピタルの最高投資責任者のガンドラック氏は50%と見ている。
テクニカル分析での合意確率は悲観的で、円高・株安を示唆している。ドル円は、ダブル・トップ(112.14円・112.40円)形成し、200日移動平均線を下回り、窓(3日安値111.07円・6日高値110.96円)を空けて下落トレンドを形成しつつある。日経平均株価も、窓を空けて200日移動平均線を下抜けており、下落トレンドを形成しつつある。
楽観的見方は、トランプ大統領発言「劉中国副首相は通商協議を修復させるプランを持っている」、サンダース大統領報道官発言「中国から米国との合意に前向きな示唆があった」。
悲観的見方は、中国共産党の機関紙「人民日報」の系列紙報道「中国は協議を一時的に中断する用意がある」や中国商務省声明「米国の対中関税が発効すれば、中国は報復措置を講じる可能性がある」。
中国の4月の消費者物価指数の予想は、前年比+2.5%、生産者物価指数の予想は、前年比+0.6%と見込まれており、予想を下回った場合は、リスク回避の株売り・円買い要因となる。

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