9日のニューヨーク外国為替市場でドルは、ハト派的な米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨やFRB高官の発言を受けて全面安の展開となった。ドル円は107.97円まで下落、ユーロドルは1.1557ドルまで上昇した。
本日の東京市場のドル円は、米中次官級通商協議で突破口が見い出せなかったことで、黒田日銀総裁の発言に注目する展開となる。
本日は、中国政府による米中次官級通商協議に関する声明や中国の12月の消費者物価指数と生産者物価指数にも要注目となる。
米中次官級通商協議の終了後に発表された米通商代表部(USTR)からの声明では、中国が米国産の農産物やエネルギー、米製品の購入拡大をコミットしたものの、米国技術の移転強要、知的財産権、非関税障壁といった重要な問題に関しての言及はなかった。トランプ米政権は、通商協議の結果報告を受けた後に、米中通商協議に向けた措置を講じるもようで、次官級通商協議には中身がなく、突破口を見いだせるものではなかった。
トランプ米大統領は、テレビ演説で国民に向けてメキシコ国境壁の建設の重要性を訴えたが、民主党指導者との会談では、時間の無駄、として途中退席しており、暫定予算案を巡る議会との攻防も突破口を見いだせない状況が続くことになる。
トランプ米政権と米議会との暫定予算案を巡る確執は、3月2日に期限切れとなる債務上限引き上げへの暗雲となっており、フィッチ格付け会社は「米債務上限に関する問題が浮上すれば、『AAA』格付けを再考」すると警告している。2011年夏のオバマ米政権と下院共和党による債務上限引き上げを巡る確執では、政府機関が閉鎖され、米国債が格下げされている。
パウエルFRB議長は、4日に2016年を引き合いに出しながら、利上げ路線とバランスシートの縮小に関して、「柔軟性」と「忍耐」により、停止を示唆するハト派的な見解を示唆した。4日には、中国人民銀行が預金準備率(RRR)を引き下げ、昨日は、中国政府が財政拡張政策を示唆した。パウエルFRB議長が言及した2016年は、1月の上海合意により、協調的政策が発動された年である。米連邦公開市場委員会(FOMC)は、4回の利上げ見通しにも関わらず、利上げを12月まで見送り、中国人民銀行は預金準備率(RRR)を引き下げ、日本は消費増税を先送りした。来週17-18日に開催されるG20財務相・中央銀行総裁代理会議での政策動員が期待されており、本日の黒田日銀総裁の発言に要注目となる。

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