ドル円は日本時間夕刻に一時114.15円まで値を上げたものの、NY外国為替市場で前日の高値114.21円の上抜けに失敗すると一転して下落した。ポンドやユーロに対してドル売りが進んだ影響を受けたため、NY市場では上値の重さが目立った。
ダウ平均の下落や米長期金利の低下に伴う円買い・ドル売りも入り、一時113.73円付近まで下押しした。なお、クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は「米中通商協議が再開した」と明らかにしたほか、「日米協議も良好」との見解を示したが、相場の反応は限られた。
ユーロドルは欧州時間に発表された11月独ZEW景況感指数が予想を若干上回ったことでユーロ買い・ドル売りが先行。イタリアが欧州委員会に予算案を再提出する期限が迫るなか、ポンドドルの上昇につれたユーロ買い・ドル売りも優勢となり、一時1.1294ドルと日通し高値を付けた。
米10年債利回りの低下もユーロ買い・ドル売りを誘った。なお、イタリア首相府は閣議後に「2019年の財政赤字目標、成長見通しは変更しない」とのコメントを発表した。
ポンドドルは買い先行後、伸び悩んだ。英国のEU離脱交渉を巡り、英有力閣僚が月内合意の可能性に「慎重ながらも楽観的だ」と述べたことで買いが先行。英BBCなど現地メディアが一斉に「事務レベルでは英・EU間で離脱合意文書の作成にこぎつけた」と報じたほか、メイ英首相が14日に特別閣議を開き「離脱合意案を議論する」と伝わるとポンド買いが加速した。
2時前に一時1.3047ドルまで値を上げた。ただ、草案合意が伝わると、英議会内のEU懐疑派が反発。市場では「合意に閣議や議会の承認が得られるかどうかは不透明」との声が聞かれ、急速に上げ幅を縮めた。
本日の東京市場のドル円は引き続き113円台後半から114円台前半でのレンジで推移か。ここ最近のドル円は狭いレンジで取引され、蚊帳の外の状態が続いている。市場の目が欧州の政治的な動き、原油価格などに向いていることで、本邦勢以外積極的にドル円相場に手を出していない。
本邦勢も実需を中心に上がったら売り、下がったら買いの姿勢を崩しておらず、レンジを大きく超えて動くには材料も不足している。
動意づけの材料としては、本日も日経平均の動きや、中国の鉱工業生産や小売売上高などの経済指標となるか。本日から安倍首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席し、プーチン露大統領と会談も予定されているが、市場に影響を与える発言などは期待薄だ。
欧州通貨は本日もボラタイルに動きそうだ。ブレグジットに関しては閣外協力を組んでいる英民主統一党(DUP)党首が「EU側が決めた北アイルランドに対する通商ルールは受け入れ難い」と発言し、与党保守党からも反対意見が出る可能性がある。
議会承認は不透明なため合意なきブレグジットを含め、様々な憶測や発言で乱高下しそうだ。
ユーロはイタリアが2019年予算案の変更をしなかったとの報道もあり、再び欧州連合(EU)が混乱する可能性も高い。経済指標は英国から10月消費者物価指数(CPI)、小売物価指数、卸売物価指数、ユーロ圏からは7−9月期のGDPが発表される。またNY入り後には10月の米CPIが発表される。
カナダドルは昨日WTI原油先物が一時55ドルを割り込んで大幅に下落したこともあり、上値が重くなりそうだ。また、豪ドルは上記の中国の経済指標と最近注目されている7-9月期の賃金指数が発表されることで経済指標の発表後の動きには警戒が必要だ。

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