NY外国為替市場でドル円はナイト・セッションの日経平均先物が440円下落すると、投資家がリスク回避姿勢を強め円買い・ドル売りが出た。1時30分過ぎに一時113.66円付近まで値を下げた。
ただ、週明け早朝取引で付けた日通し安値113.65円や前週末の安値113.64円が目先サポートとして意識されると下げ渋った。ポンドやユーロに対してドル高が進んだ影響も受けた。
ユーロドルは米国の利上げ継続観測でドルが買われやすい一方、イタリアの財政懸念などを背景にユーロ売りが出て一時1.1216ドルと昨年6月27日以来の安値を付けた。
イタリアの2019年度予算修正案の欧州委員会への提出期限を明日に控えて、全般ユーロ売りが出やすい面もあった。これまでサポートとして意識されていた8月15日の安値1.1301ドルや心理的節目の1.1300ドルを欧州時間に割り込んでいただけに戻りも鈍かった。
ポンドドルは戻りが鈍かった。バルニエEU首席交渉官が英国の離脱協定について「主要項目が13日にも英内閣に示される準備が整った」との見解を示したと伝わると、合意期待が再燃。一時1.2936ドル付近まで急伸したが、短時間で値を消した。
英首相報道官がこの報道について「懐疑的」との見方を示したと伝わったことを受けた。
本日の東京市場のドル円も113円台後半でもみ合いか。市場の目が欧州の政治的な動きに向いていることもあり、ユーロやポンドをはじめ欧州通貨中心の動きになるだろう。昨日同様にドルの買い材料は、ドルが欧州通貨に対して買われていることだ。
一方、売り材料は大幅に下落した株価が頭を抑えること。CME225先物は大阪取引所の引け値より475円安で引けたため、本日も日経平均の下落幅は大きくなるだろう。欧米時間は株価の動きに為替は連れて動かなくはなっているが、東京時間は材料不足なこともあり、株安はドル売り材料になりやすい。
波乱要因となりそうなのは、ペンス米副大統領と安倍首相の会談。すでに副大統領は「FTA交渉について協議する」とツイートしている。9月後半の日米通商協議では「日米物品貿易協定(TAG:Trade Agreement on Goods)」という言葉で日本では報道されたが、このような造語は日本でのみしか使われていない。
9月の協議を造語でごまかしたように、本邦政府からの会談内容発表は真実味がない可能性もあり、本邦の報道よりも海外の報道のほうが信頼性は高く、ヘッドラインには警戒をしておきたい。
欧州通貨は東京時間ではトレンドを作るのは難しいが、ブレグジットに関してはメイ英首相が「ブレグジット交渉は現在、大詰めを迎えている」と発言しているものの、度重なる楽観的な発言に市場は嫌気が差していることもあり、余程大きな進展がない限りはポンド買いにはつながりにくいか。
ユーロは本日のイタリアの2019年予算案の再提出期限次第の動きになりそうだ。欧州時間には英雇用統計や独・ユーロのZEW景気指標の発表を控えているが、政治的な動きのほうが大きいため経済指標の結果での動きは短期的になるだろう。
また、欧州通貨以外では58ドル台まで下落しているWTI原油先物の影響で、カナダドルが売られている。カナダドルの動きにも警戒が必要だ。

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