■今後の見通し<br/><br/>1. 2017年12月期の業績見通し<br/>ワールドホールディングス<2429>の2017年12月期の連結業績は、売上高で前期比31.3%増の123,846百万円、営業利益で同15.4%減の6,270百万円、経常利益で同18.7%減の5,936百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同16.0%減の3,519百万円と増収減益を見込んでいる。新たに子会社化した豊栄建設(株式取得は2017年1月)とファーム(同2月)で約100億円の増収要因となるため、実質的には20%増収となる見通しだ。一方、利益で減益となるのは、不動産事業において2016年12月期第3四半期に好採算の土地売却案件を計上した反動によるものとなっている。ただ、全体的に保守的な印象が強く、市場環境に大きな変化がなければ、利益ベースで計画を上回る可能性はあると弊社では見ている。<br/><br/>なお、新たに子会社化した豊栄建設は北海道で圧倒的なブランド力を持つ戸建注文住宅の大手で、2015年12月期の売上高で7,269百万円、営業利益で330百万円の収益水準となる。株式取得価額は3,000百万円(出資比率100%)、のれんの金額はまだ確定していないが数億円規模になるとみられ、5年償却で1億円ののれん償却費が発生したとしても初年度から連結利益に貢献する見通しだ。<br/><br/>また、ファームは農業公園を子会社も含めて全国9ヶ所で運営・管理(うち直営6ヶ所、地方自治体からの受託3ヶ所)している。ここ数年、施設の利用者数減少が続き、2016年5月に民事再生法の適用を申請し、同社が事業再生支援のスポンサーとして名乗りを上げ、2017年2月に株式取得価額540百万円(出資比率90.0%)で子会社化した。2016年4月期の単独ベースの売上高は2,193百万円、経常利益は235百万円、純資産は4,718百万円となっている。直近の財務状況が子会社を含めて未確定のため、のれん金額については流動的だが負ののれん益が発生する可能性がある。今回、事業領域が異なるファームを子会社化した理由として、「地域に根差した幅広い雇用の創出を通じて地方創生に貢献すると同時に、子供に自然との触れ合う機会を創り、体験させたい」という社長の強い想いがある。同社の事業運営、人材活用、不動産管理等のノウハウ、及び東証1部上場企業としての信用力と資金力を生かし、地方自治体や学校教育機関、地元企業などとの連携を図りながら、農業公園の再生を果し、地域での雇用創出を実現していく考えだ。当面は施設設備の維持・更新投資など先行投資がかかり、利益面での貢献は見込み薄ではあるものの、中長期的には収益貢献する事業に育成していく方針となっている。<br/><br/>(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)<br/><br/>

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