東京金融取引所(TFX)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」は、5月の取引数量が前月比4.6%減の190万0153枚、1日の平均取引数量は9万0481枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は3971億円と前月比で0.64億円増加した。取引通貨量では、米ドル、メキシコペソ、南アフリカランド、豪ドル、トルコリラの順となっている。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」は、5月の取引数量が前月比50.7%増の380万8537枚、1日の平均取引数量は18万1468枚と前月比で増加した。月末時点の証拠金預託額は504億円となり、前月比で約1.62億円の増加となった。<br/><br/>取引数量トップは米ドル・円の44万5313枚(前月比5.2%減)であった。商品市況で加速するインフレへの警戒感が高まるなか、5月上旬は、米10年物ブレークイーブンインフレ率(期待インフレ率の指標)や米10年物国債利回りに代表される米長期金利が上昇傾向を辿った。5月12日に発表された4月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を大幅に上回ると、警戒感はピークに達し、米長期金利は一時1.7%台に乗せるまでに急騰。その後は過度な警戒感が後退し、米長期金利は徐々に低下していったが、日本との大幅な金利差は維持されたままだった。一方、世界経済の回復に伴い、日本の貿易収支の改善が続き、企業の輸出代金の決済に伴うドル売り・円買いが強まった。日米金利差に基づくドル買い・円売りと、実需要因に基づくドル売り・円買いとが拮抗する形で、5月のドル・円はもみ合いとなった。<br/><br/>南アフリカランドは24万8575枚(前月比16.3%増)だった。中央銀行の総裁が「物価上昇が永続的となれば金融引き締めを躊躇しない」と指摘するなど、タカ派色を強めたことで利上げ観測が台頭したことがランド買い・円売りに繋がった。また、プラチナなどの資源価格の上昇も追い風となり、ランドは対円で一本調子の上昇基調が続いた。<br/><br/>6月のドル・円は上値を試す展開か。10日は、5月に株式市場に「CPIショック」をもたらした米消費者物価指数の5月分が発表される。米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ指標として注視している変動の激しい食品や燃料を除いたコアのCPIは前年比で+3.4%と、+3.0%となった4月より加速する見込みだ。これまでの経緯から、インフレに対する脅威はある程度は織り込み済みと思われるが、再び、インフレ加速・長期金利の上昇という展開もあり得よう。その場合、日米金利差の拡大から、ドルは対円で上値を試す展開が想定される。また、15~16日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が控える。委員会メンバーの政策金利見通し(ドットチャート)の公表もあるため注目度が高い。可能性は低いが、政策金利の中央値が僅かでにでも引き上げられるようなことがあれば、ドル・円は上値追いとなろう。<br/><br/>トルコリラ・円は弱含みか。トルコのエルドアン大統領が、再び利下げ圧力を強めている。6月1日には、トルコの国営テレビのインタビューで、「利下げが必要であり6月1日に中銀総裁と協議した」との発言もしている。これまで、中央銀行のカブジュオール総裁は「必要に応じて追加利上げを行う用意がある」との姿勢を見せていたが、当該文言を金融政策声明文から削除するなど、変化も見られている。利下げへの思惑から、トルコリラ円は軟調な展開を強いられそうだ。<br/><br/>

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