債務とは、債権者が資産の全額を債務者に貸与することに同意したとき成立する。
債務証券 (債券) は通常、元本の償還と利子の支払いが保証されている。また、債券の利率は債務者の償還能力に大きく左右される。
信用リスクが高くデフォルトに陥る可能性の高い債権者は、通常、資本を借入れるために高い利率を設定している。
債券と株式はともに有価証券であるが、この二つの主な違いは:
- 株式の投資家は株主として会社の株式を取得する一方、債券の投資家は債権者として会社に資本を貸付ける。
- 債権者は絶対的な優先権を持っており、債務者が破綻した際には株主より先に返済を受けることができる。
- 債券には満期日が設けられており、期日には債券が償還される。一方で株式には保有期間が設けられていない。
債券とはなにか?
債券とは債務証券である。債券の発行人は保有者に対し債務を負い、保有者に対して利子 (クーポン) の支払い、また期日 (満期日) には債券購入額である元本の償還を義務付けられている。利息は大抵定められた期日に支払われる。(半年に1回、年に1回、時には月1回など)
債券はなぜ必要なのか?それは、企業と国はお金を必要としているからである。 企業は新しい市場へと事業を拡大するのに資金を必要とし、国はインフラの整備や社会計画などにお金が必要だ。
大規模組織は、たいて必要とする資金が普通の銀行が提供できる資金額をはるかに超えているという問題に直面する。この問題の解決策として、市場に債券を発行 (または証券取引所に上場 (新規株式公開 IPO) ) し資金を募る方法が挙げられる。そうすることで何千人もの投資者たちによって必要な資金の一部を賄ってもらうことができるのだ。簡単に言えば、債券とは「自分が貸付けるローン」だと言える。
また、債券を売る組織側は「発行体」と呼ばれている。
債券の種類
国債
国債は、政府から発行される債券である。国債を購入する場合、その債券を発行した政府にお金を貸することとなる。国債を購入すると、国によって債券購入額 (元本) を返済されることが保証され、また、特定の利率で利子が支払われる。
先進国から発行される国債の多くはとても安全であると考えられているが、多くの発展途上国の国債は相当な危険を伴う。なぜなら発展途上国は会社のようにデフォルトに陥る可能性が高いからである。
社債
企業は株を発行するように、債券を発行することもできる。会社の発行した債券を社債という。大企業は、債券の発行量に関して制限が小さく、債券相場に負担が掛からない限りは発行数の制限が緩められている。通常、短期社債は1年未満、中期は2~6年、長期は10年以上、超長期は15〜30年となる。
国債を発行する「国」と異なり、社債を発行する「会社」は破綻する危険を伴うため、社債にはより高い利回りが設定されているのが特徴である。しかしリスクを伴うがゆえに、社債は最も収益力が高く、なおかつ安定したリターンを得られる投資とも言えるだろう。
社債に投資する上で、会社の信用度は非常に重要である。この信用度 (格付け) が高い会社ほど利率は低く設定されている。
債券用語
債券には知っておくべき多くの特徴がある。これらの特徴はすべて、債券の価値とポートフォリオ内での重要度を決定づける役割を果たしている。
償還金
償還金とは、保有する債券が満期日を迎えた際に受け取ることのできるお金のことである。新しく発行された債券は大抵額面価格で発行される。
償還金は他に、「額面金額」、「金融額面」、「保険金額」などと呼ばれる。
いくつかの仕組債においては、償還額が額面金額と異なる場合がある。仕組債は特定の資産 (株式、商品指数、為替レート、ファンドなど) のパフォーマンスとリンクしているため、資産のパフォーマンスによって償還額が変動する。つまり満期日に償還される償還額が元本を超え利益となることも、元本を下回り損益となることもある。
満期日
満期日とは、投資家の償還金が払い戻される日のことである。償還期間は短くて1日、長くて30年といった期間が設けられている。発行体が満期日に債券保有者に支払いを終えることで、債務契約は終了する。
満期日までの期間の長さは、償還年限、テナー(支払期限)、または支払期日とも呼ばれる。 債券の満期日の設定は様々だが、期日が一年未満の債券の取引に関しては短期金融市場 (マネー・マーケット) 取引といえる。
クーポン (利率)
クーポンとは、債券発行体が保有者に支払う利子のことである。通常、債券の利率は発行から満期日まで一律である。
債券用語におけるクーポンは、かつて実際に債券の券面に切り取ることのできるクーポン (利札) がついていたことに由来している (債券は現在全て電子化されている) 。
利回り
利回りとは、投資に対する収益率である。通常利回りは下記を参照する。
- 現行利回り (直接利回りとも呼ばれる) は1年間の利息を現在の債券価格で割ることで求められる。
- 最終 (償還) 利回りを知ることは債券の収益率を知るのに有効的である。
最終利回りは現在の市場価格、最終償還日までの利子の合計、そして満期日に払い戻される償還金が考慮に入れられ、算出される。
この収益率は債券の内部収益率と等しくなる。
発行体
元本の返済を確実にするために、発行体の安定性は重視すべきである。例えば、日本国債は他のどの発行体よりも安全だと言えるだろう。なぜなら日本はデフォルトに陥る可能性が極めて低いからである。つまり 投資した元本が返済されない可能性も低いのである。
一方社債の場合、会社は常に利益を上げ続けることを保証されているわけではない。つまり会社が倒産し、元本が返済されない可能性も大いに在るのである。このことから社債への投資はリスクが伴うため、社債は投資家の興味を引くような高い利率を設定している。この高い利率はリスクを伴うことに対する代償だと言える。
市場価格
債券相場 (市場価格) は下記の要因に影響される
- 利子の通貨、支払日、利子額
- 償還日、格付け
- 他の債券と比較した際の償還利回り
債券の発行時の発行額は、基本的に額面金額とほぼ等しくなる。
また、発行体の受け取る純利益は発行価格から発行手数料を引いたものとなる。基本的に発行手数料は発行体が負担するため、新発債の購入に手数料は掛からない。
償還期限の期間中、債券の市場価格は下記の事柄に起因して上下する。
- プレミアム (額面価格以上) の場合: 市場の利率が発行時より下落しているため
- ディスカウント (額面価格以下) の場合: 市場の利率が上昇、または償還が望めなくなったため
割引債 (ゼロクーポン債)
割引債とはクーポン (利子) の付かない債券のことで、額面より安く購入することができる。利息が支払われない代わりに額面金額より安く購入することで、償還日に額面金額を受け取りその差額から利益を得ることのできる債券である。
要約
債券に関する重要なポイント:
- 債券を購入するということはお金を貸し出すということ。
- キャッシュフローが固定されていることから、債券は「確定利付証券」とも呼ばれる。
- 株は資産(エクイティ)、債券は負債(デット)である
- 債券投資の主な目的は多様なポートフォリオ形成によるリスク分散のため。
- 債券の発行体は政府と会社などである。
- 債券は資本金、クーポンレート(利率)、満期日、発行体によって特徴づけられる。
- 利回りとは、債券から得ることのできる利益率である。
- 金利が上がると、市場の債券の価格は下がる(逆も同じ)。
- 国債は社債よりも比較的安全である。
- 債券にもリスクが伴い、借用者がデフォルトに陥る可能性がある。(特に社債の場合)
- 多くの場合、ブローカーは債券を売る際手数料を取らない代わりに、債券自体の価格を上げている。