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パウエル議長の議会証言待ち

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<ひと目で分かる昨晩の動き>

【NY市場】
上値を重くしているドル円は、欧州市場からNY市場にかけて161円を回復するも、その後160円台半ばまで下落。

ユーロドルは小幅に続伸し、1.08台半ばで推移。

株式市場ではナスダックとS&P500が続伸し、最高値を更新。ダウは31ドル安。

債券は変わらず。長期金利は4.27%台で変化なし。

金は反落し、原油は続落。

5月消費者信用残高 → 11.354b

ドル/円  160.48 ~ 161.01

ユーロ/ドル 1.0823 ~ 1.0845

ユーロ/円  173.91 ~ 174.50

NYダウ -31.08 → 39,344.79ドル

GOLD -34.20 → 2,363.50ドル

WTI -0.83 → 82.33ドル

米10年国債 ±0 → 4.278%

【本日の注目イベント】
豪 7月ウエストパック消費者信頼感指数
豪 6月NAB企業景況感指数
日 日銀「債券市場参加者会合」(銀行15:45)
日 日銀「債券市場参加者会合」(証券17:30)
米 パウエル・FRB議長、上院銀行委員会で証言
米 イエレン・財務長官、下院金融委員会で証言
米 バー・FRB副議長講演
米 ボウマン・FRB理事講演
米 NATO首脳会議(ワシントン、11日まで)

160円台で推移していたドル円は欧州市場からNY市場にかけては買われ、161円台を回復する場面もありましたが買いは続かず、160円台半ばまで押し戻される展開でした。基本的には半期に一度行われるパウエル議長の議会証言待ちといった状況で、米長期金利も動きがありません。パウエル議長にとって、金融政策に関する議会公聴会への出席は11月の大統領選前としてはこれが最後となります。「議長は、金融当局の利下げ開始にしびれを切らしている議員や、ウォール街の金融機関に対するFRBの資本要件強化に不満を持つ議員からの圧力に直面する見通しだ」(ブルームバーグ)

米金融当局は先のFOMCで公開したドットプロット(金利予測分布図)で年内の利下げ回数見通しを中央値で1回と、3月時点の3回から減らしました。その後は、議長を含めメンバーの多くは、「インフレが当局目標の2%に向って行くとの、さらなる確信の持てる証拠が望まれる」として、現行の高金利を維持しています。ただ、PCE価格指数の下振れを皮切りに、6月以降発表されたISM非製造業景況指数、ADP雇用者数、さらには雇用統計など、多くの経済指標が景気の鈍化を示唆する結果を見せています。この辺りの変化を、パウエル議長がどのような言い回しで説明するのか、注目されます。「2%の物価目標に向って極めて順調であり、自信を深めた」と言えば、金利が低下しドルが売られ、株価が上昇。一方、「ここ最近の結果には満足しているが、さらなる証拠が欲しい」と言えば、2%の物価目標に対してやや弱気と見られ、金利が上昇し、ドル高、株安に振れる可能性が高いとみられます。本日はパウエル議長の他にも、イエレン財務長官の議会証言もあり、さらにはFRB高官2名の講演も予定されており、それらの発言内容によって市場が動くことになりそうです。

テレビ討論会を境に、大統領選出馬への逆風が身内の民主党内からも吹き出したバイデン大統領ですが、民主党議員に充てた8日の書簡では、「私はこのレースに残り、最後まで戦い抜き、ドナルド・トランプを打ち負かすことを固く誓う」と言明しています。公開された同書簡では、「どう前進するのかという問題は、もう1週間余り議論されてきた。そろそろ終わりにする時だ。前途の課題について決意が弱まったり、明確さが欠けたりすればトランプを助け、われわれを傷つけるだけだ。今こそ団結し、党として前進し、ドナルド・トランプを打ち負かす時だ」としていました。ただ、バイデン氏の撤退を望む民主党下院議員はじわりと増えており、週末には下院民主党トップのジェフリーズ院内総務が非公式のオンライン会合を開催した際には、同党有力議員のうち数人がバイデン氏の撤退を望む考えを新たに示しています。

先週末の雇用統計の結果について、第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストからメールを頂いたので紹介させてもらいます。「雇用者数は前月比+20.6万人と市場予想(+19.0万人)を小幅に上回ったものの、過去2ヶ月の数値が11.1万人分下方修正されたため、均してみれば事前予想よりも弱い結果であった。同時に平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.9%へと減速。『ラスト・ワンマイル』の段階にあるインフレ沈静化プロセスが前進したことに疑いの余地はない。雇用者数は+20.6万人と見た目は堅調な結果であったが、ここに政府部門の+7.0万人と異常的な伸びが含まれているため、民間雇用者に限ると+13.6万人まで減速している。この13.6万人という数値は、2023年以降に(不法)移民増加が年間330万人程度(0.95%の人口増に相当)まで急増していることを踏まえると、『弱い』と評価するのが妥当だろう。また企業が労働コスト増加に歯止めをかけようとする中、フルタイム労働者が頭打ちとなり、反対にパートタイムが増加していることも重要。企業は人手不足を認識しつつも、人件費増加には寛容でなくなりつつあるとみられる」と、今回の結果は見た目よりも「弱い」という分析でした。

本日のドル円は160円~161円50銭程度を予想します。

【外為オンライン シニアアナリスト 佐藤正和の情報コンテンツはこちら】

【外為オンライン シニアアナリスト:佐藤正和】 邦銀を経て、仏系パリバ銀行(現BNPパリバ銀行)入行。 インターバンクチーフディーラー、資金部長、シニアマネージャー等を歴任。 通算20年以上、為替の世界に携わっている。
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