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GnosisのICOモデルは伝説を残すのか?

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4月24日に始まるGnosisのICOが色んな意味ですごいことになっているという噂を聞いて調べてみました。


そもそもGnosisトークンの存在意義とか割と複雑な2重トークンの仕組みなども突っ込んでみたい気もしましたが、この記事はとりあえずICOのトークン販売スキームにのみフォーカスしてみます。

「これは新しい」とか「もはやスキャム」とか色々な意見がありましたが、果たしてどうなんでしょうか…。

(※どうでもいいですが、Gnosisの読み方は「ノーシス」的な感じです。Gの発音は落とす。「Know」みたいな感じでKの発音が入らないのと同じ英語の謎パターンです)

 

ICOトークン販売スキームの問題点

 

GnosisのICOスキームの説明の前に、そもそもなぜ新しい仕組みを考えたのか?既存のICOの設計でもっとも一般的なものは「1か月間の限定販売」「キャップ(購入可能限度額)あり」「先に購入した人にボーナスがつく」という段階的に価格が上がっていくタイプのものでした。それらの問題として、

  1. セール開始後にすぐコインが売り切れてしまい、購入出来ない人が続出
  2. セール開始直後にものすごいボーナス(50%など)がつくものが多く、買うタイミングを数時間、数日逃すだけで後続の参加者にとって非常に不利になる


確かに自分自身も、初期購入をめちゃくちゃ有利にして煽り、セール開始直後に購入が殺到してすぐに何億円レベルの金額を集めようとする最近の方式は問題だと思っていたので、これは十分に理解できます。

ちなみに既存のICOへの問題点に関しては、GnosisのCEO自身がこちらの記事でまとめているので詳細はこちらを参照。現状のICOの状態に関して、

For the buyer, paying up to 50% more for the same token just because they looked to purchase a few days later almost feels like a scam.

 

スキャムにすら感じるというコメントを記事内でもしています。

GnosisのICOモデル

 

というわけで今のICOモデルは問題があるよね、ということで、GnosisのICOで採用されるのは逆の発想の入札価格が段階的に下がっていく、ダッチオークションという方式に基づいたものです。

ものすごく単純化して説明します。
 
セールスタート時の価格が最も高い状態でスタートします。1 GNO = 100万円とでもします。当然価格はめちゃくちゃ高いので初期価格で入札したい人はあまりいません。そして時間が追うごとにどんどん価格が引き下げられて行き、1GNO=1万円になった時点でこの価格なら買ってもいいかな、と思うなら、買いたいGNOトークンの枚数を決定して入札します。10万円の予算があったので、10GNOをそれぞれ1万円の価格で入札したとしましょう。この時点で自分は最低でも10GNOがもらえることは確定です。

オークションは自分の入札後も続き、セール終了条件を満たした時点の1GNO=1000円の価格で終了したとします。

そうすると自分は1万円の価格で買い入札したのですが、この終了時点の1000円という価格が先に入札した人にも適用されるので、結局自分は10万円支払った(入札した)ものに対し、それぞれ1000円の価格で合計100GNOもらえることになります。


この方式でやると、自分がもらえる最低コイン枚数が保証されつつ(上記の例だと最低10枚)、セール開始直後にコインが売り切れてしまい、買いたかった人が買えなくなってしまうような状況が回避され、市場原理的にコインの価格も決まっていく、という仕組みになりそうです。

 

つまり、普通にやれば先に異常に高い価格で注文を出すメリットは低く、自分が払っていいと思える最高価格で注文を出せばいいはずです。なので最初にこの話をさらっと聞いた時は自分も中々いい仕組みなんじゃないかな、という第一印象を受けました。


ただし、少し調べてみると、Gnosisのセールには大きな問題点がいくつかあるのもわかります。

 

Gnosis ICOの問題点

ダッチオークション方式自体は面白いと思ったのですが、余ったトークンの扱い、キャップの設定方法、Gnosis運営による不正が可能な状況などを考慮すると、ある意味伝説が生まれそうな状況になってます。

セールの詳細は細かくは説明しないので、興味のある人はこちらのページから自分で確認してみてください。

  1. 売れ残ったトークンはGnosisチームに引き渡される

    最初にこのオークション方式を聞いた時は、Gnosisの取り分は固定(もしくはセールで最終的に配られたコイン枚数の一定レート)だと予想していたのですが、そうではなく総発行量は1000万GNOコインと決まっており、セール終了時点で売れ残ったトークンはGnosis運営に戻されるということになるそうです。これが最大の問題点と自分は感じました。

    こちらのエクセルシートを見れば一覧できますが、もし購入者が殺到して最初の1時間で1GNO=$30で900万GNOがすぐに売り切れてしまった場合、売りに出されたはずのトークンのほとんどは売れ残り、全体の95%以上がGnosis運営に戻されるということになります。マーケットキャップは単純な計算では300億円以上という計算になりますね。


  2. キャップが低すぎる?

    今回のセールは13億円相当の資金が集まった時点で終了というキャップをもうけているのですが、セール開始後1時間以内に10億円以上の資金が簡単に集まってしまうちょっと正気とは思えないような現在のICO相場を考慮すると、ダッチオークション方式などを無視してすぐに購入が殺到する可能性もあり、危険な気がします。

    もはやセールの仕組みすらよく理解しない層が、とりあえず買いのチャンスを逃したくないということでセール開始直後に入札殺到した場合、すぐに13億円のキャップに到達し、9割以上のトークンをGnosisが持ってしまうことになります。(それが投資者にとっていいことかどうかの私見は後ほど説明)

    資金が集まりすぎると批判の対象になるからキャップをもうけているというのもわかるのですが、キャップ到達してもどうせ残りのトークンを持っていくわけで、実際は「キャップ+Gnosisに返還されるGNO」がある意味での真の調達額なわけです。これなら、最初からキャップなしでセール終了の条件を別のものにした方が、まだ実質集まった金額が見えやすくフェアだと自分は感じました。

  3. トークンの適正価格などわからない

    Gnosisの公式の説明によれば、セール参加者は自分が支払いたいと思う金額と1GNOトークンが自分にとって生み出す価値を基に、購入したいと思える最高価格で入札するのが最適行動だと言っています。("their fair cost to purchase GNO relative to the utility GNO offers them")

    ただし、正直に言えば入札時点でまともなプロダクトが存在しないものに適正な価格をつけるもクソもないので、入札価格を決めるのはほぼ100%投機的条件(将来的な期待/妄想)とその他のユーザーの行動次第でしょう。結果として投機目的の層が価格などは無視して、我先にとみんな入札してすぐにキャップに到達するような状況も容易に想像できます。

    そもそもICO参加する時に適正価格なんて考えている人も多くないですよね、正直笑予算があってそれをぶちこむだけのゲームみたいなところもありますし。

  4. Gnosis運営がチートしようと思えば出来てしまう

    セール自体はETHで集めた金額の合計がキャップに到達した時点で終了なので、この終了のタイミングが非常に重要なのですが、やろうと思えばGnosisチームが自分たちに有利になるように「こっそり」終了のタイミングを操作できるのも問題です。

    上記で説明したようにユーザーがどの価格で入札するかは大部分その他のユーザー(競争相手)の行動次第です。なので大口の投資家、もしくはGnosis運営自体が「煽り」用のETHを用意しておけばユーザーの入札行動を操作することも出来そうですし、目標金額の大半に到達した時点でほぼノーリスクで終了タイミングを操作することも出来てしまいます。

    Gnosis運営としても、早くセールが終わればキャップに到達した13億円相当のEthに加えて、自分たちで自由にコントロールできるトークンが増えるので、チートをするインセンティブは十分にありますし、ユーザーに「責任転嫁」して、「実質」調達金額を水増しすることも出来てしまうわけです。

    もちろんGnosisがこれをしますと断言するわけではないですが、チートが出来てしまう、そしてそれをやるのに十分なインセンティブがあるスキーム設計は問題といえるでしょう。要はトラストレスな世界を目指すはずが、セールの時点でGnosis運営に対する相当な信頼が必要になってしまっている矛盾があるわけです。

 

何が起こるかの予想

 

さて、ここから先は何が起こるか自分の予想です。これはもはやただのお楽しみで、いや、自分はこうなると思う、みたいな反論などあれば是非コメントして欲しいです。勝負しましょう笑


  1. 初日に売り切れはない


    何もわかってなくて初日に突っ込む人たちもいると思いますが、さすがにここまで初日に突っ込むものではない、などの批判があるので、初日に終了はさすがにないと予想します。それでもおそらく数億円分くらいは初日に入ってくると思いますが。

    (さすがに初日とか最初の1時間で全て売り切れた場合、伝説達成ですね、おめでとうございます。それと同時にICO参加している層がどんな人たちか明確にわかってしまいますね。)

  2. 初日に売り切れなかった場合、しばらく様子見になる

    初日に売り切れなかった場合、よくわかってない人たちも含めてちょっと冷静になって様子見を始めると思います。セールに参加したい人たちはこの間は他のユーザーの動き次第で自分も入札しなくちゃいけないので画面とのにらみっこが続きます笑


  3. Gnosisの取り分が3割程度のところが勝負のライン

    一般的なICOだと開発者が3割程度のトークンを持つことが多く(この数字が適正値かは別として)、投資する側もこのラインは一つ意識しているでしょう。自分がトークンを購入するなら、周りもここらへんは意識していると予想します。

    その戦略に基づけば、3割前後のラインで入札が殺到し、すぐに売り切れてしまうという予想になるので、おそらくその前に入札するという戦略の人も少なからずいると思います。先ほどのエクセルシートのリストによれば、セール開始20日目におよそ3割程度になるので、その十分前、セール開始2週間後前後、Gnosisの取り分が全体の半分くらいのラインになった時点で一気に入札が増え、結局そこで一気に終了。結局セール開始2週間後にキャップ到達、Gnosisがトークンの半分持っていくというのが自分の予想です!(この予想に1000pepecash賭けます!笑) 

  4. Gnosisが大部分のトークンを持っていくのは果たして悪いことなのか?

    上記の予想はある程度ICO参加者の合理性を加味しているわけですが、当然もっと早く終了という別のシナリオもあります。

    そもそも参加者の大半はICOで買ったコインの価格より高い価格で将来売り抜けたいという目的で動いている人たちだと思うのですが、そういう人たちにとってGnosisの運営が極端なケース9割以上のトークンを持っていくのが果たして最悪の結果なのかというとそうでもないと思います。

    もし、Gnosisが仮に9割のトークンを保有していたところで、Gnosisが売り浴びせなどしないと信頼して、市場に出回るコインの数に対して投機的な需要がまだ存在するのなら、購入時の価格とは無関係にトークン価格はむしろ吊り上がるかもしれません。そのシナリオを狙っている人たちもいるかもしれません。XRPなどもRipple Labが大半保有してるようですが、価格が上がったりしてますし同様の状況は起きえると思います。

 

最後に

 

というわけでGnosisのICOに関する簡単な説明と予想&コメントでした。


Gnosis自体はAugurとは違った手法で、分散予測市場を目指すもので、Augurより現実的な手法をとっているため、ICOの話は抜きにすればそこまで悪いプロジェクトではないかもしれません。(まあただしコイン発行して運営がいる時点で分散予測市場というコンセプト自体に関して疑問もつけれますが)

 

Gnosisについてはちょっと古いですが、自分と大石さんでビットコイン研究所の方でレポートにもして考察も実はしていました。

自分個人としてはICO参加者の理解レベルなどがわかるというか、何が起きるのか単純に目撃したいのである種楽しみなのですが、解説した通りICOのスキームとしては問題も多そうです。どんな形になろうとGnosis運営者に投資家が遊ばれているような形で、トラストレスな発想とは全く逆のような設計になってしまっていますしね。

 

まあどんなものであれ、参加するかどうかなどは個人の自由ですが、Gnosisはまた暗号通貨の歴史に悪い意味での伝説を残してしまう可能性がある、というリスクだけは覚悟しておいた方がいいかと。果たして自分の予想は当たるのか…!?セールのスタートが楽しみです。

 

最後にボーナスとして、GnosisのICO詳細の最後に書いてある注意書きをわかりやすく意訳紹介します。

GNO tokens are functional utility tokens within the Gnosis platform. GNO tokens are not securities. GNO tokens are non-refundable. GNO tokens are not for speculative investment. No promises of future performance or value are or will be made with respect to GNO, including no promise of inherent value, no promise of continuing payments, and no guarantee that GNO will hold any particular value. GNO tokens are not participation in the Company and GNO tokens hold no rights in said company. GNO tokens are sold as a functional good and all proceeds received by Company may be spent freely by Company absent any conditions. GNO tokens are intended for experts in dealing with cryptographic tokens and blockchain-based software systems.

GNOトークンはソフトウェアの一部であって、GNOという会社の株じゃない、返金もできない、投機目的じゃない、絶対だよ。将来の価格の保証はないし、私たちは知らない。集まった金は自分たちが自由に使います。このセールは玄人用だからね(素人は参加して文句言わないでね♡)

 

それでは。

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ビットコインについて「ビットコインを語ろう2.0」のブログを中心に、特に非技術者に向けて様々なメディア、講演会などで情報発信している。専門はビットコインのブロックチェーン技術の通貨以外への応用ビットコイン2.0と呼ばれる分野。日本のビットコイン業界を世界に追いつかせるべく、国内、海外の複数のプロジェクトに参画中。
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