先週の新興市場では、マザーズ指数、日経ジャスダック平均とも相対的にしっかりした値動きだった。「ロシアゲート」疑惑を巡り米政権運営に対する懸念が強まるなか、日経平均の下落とともにリスク回避の売りが広がる場面も見られた。しかし、新興市場では決算発表が一巡して好業績株に買いが入ったほか、材料株やテーマ株の一角にも物色が向かった。なお、週間の騰落率は、日経平均が-1.5%であったのに対して、マザーズ指数は-0.7%、日経ジャスダック平均は+0.7%だった。日経ジャスダック平均は引き続き年初来高値を更新している。<br/><br/>個別では、マザーズ時価総額上位のミクシィ<2121>が週間で4.9%高となる一方、サイバーダイン<7779>が同3.3%安、そーせいグループ<4565>が同6.8%安と軟調だった。そーせいグループは5月12日引け後、サイバーダインは15日引け後に決算発表している。売買代金上位では直近IPO銘柄のソレイジア・ファーマ<4597>、主力ゲームの好調が続くドリコム<3793>やアカツキ<3932>などが上昇した。また、今期黒字化見通しなどが好感された夢展望<3185>、リリースが材料視されたASJ<2351>やエディア<3935>が週間のマザーズ上昇率上位となった。反面、アセンテック<3565>などが利益確定売りに押され、業績予想を下方修正したバリューデザイン<3960>が下落率トップだった。ジャスダック主力では、エン・ジャパン<4849>が同9.9%高、平田機工<6258>が同12.2%高と好業績株が堅調だった。エン・ジャパンは一部証券会社の投資評価引き上げが観測されている。売買代金上位ではラクオリア創薬<4579>やメイコー<6787>も買われた。また、業績上方修正などの好材料が重なったイデアインターナショナル<3140>、決算等が評価されたサイバーセキュリティ関連のセグエグループ<3968>やアズジェント<4288>が週間のジャスダック上昇率上位だった。一方、今期減益見通しの日本モーゲージサービス<7192>やアバールデータ<6918>などが売られた。<br/><br/>今週の新興市場は、引き続き米政治の混迷など外部環境の影響を受けやすい状況が続くと考えられる。しかし、海外市場がひとまず落ち着きを見せていることから、各種報道やリリースを手掛かりとした物色は活発となるだろう。値動きの軽さもあって中小型株には個人投資家の資金が向かいやすい。<br/><br/>足元ではセグエグループのように1-3月期の業績進捗が順調だった銘柄や、ジャパンエレベーターサービスHD<6544>のように今期大幅増益見通しの銘柄が強い値動きを見せている。エン・ジャパンのように主力・準主力級の銘柄では決算を受けた投資評価引き上げの動きも出てきている。決算発表が一巡したことから改めて内容を精査しておきたい。物色テーマとしては、インバウンド関連に再注目したい。報道によれば、化粧品などで訪日外国人が帰国後に購入を続ける動きが輸出をけん引しているという。なお、今週は5月26日に日本スキー場開発<6040>などが決算発表を予定している。<br/><br/>IPO関連では、ディーエムソリューションズ<6549>(6月20日、ジャスダック)とエコモット<3987>(6月21日、札証アンビシャス)の新規上場が発表されている。6月のIPO件数は計3社となった。先に上場が発表されたビーブレイクシステムズ<3986>(6月15日、マザーズ)は5月25日に仮条件が決定し、翌週29日からブックビルディング期間となる。<br/><br/><br/>

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