先週の新興市場では、4月15日の北朝鮮・故金日成主席生誕105周年記念日を通過し、地政学リスクに対する過度な警戒感がいったん和らいだことから、個人投資家の資金が中小型株に向かった。23日に行われるフランス大統領選挙の第1回投票を前に、外部環境の不透明感が大型株の重しとして意識されたことも中小型株物色の流れを強めたようだ。マザーズ指数は一時25日線に迫る水準まで戻したが、週末にかけてはイベントを控え手仕舞い売りに押された。なお、週間の騰落率は、日経平均が+1.6%であったのに対して、マザーズ指数は+3.9%、日経ジャスダック平均は+3.0%だった。<br/><br/>個別では、ミクシィ<2121>が週間で1.8%高、サイバーダイン<7779>が同0.6%高、そーせいグループ<4565>が同8.3%高とマザーズ時価総額上位は全般堅調だった。また、アカツキ<3932>が同26.9%高と強いリバウンドを見せた。主力ゲーム「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」の海外での好調が材料視されたようだ。直近IPO銘柄ではソレイジア・ファーマ<4597>やファイズ<9325>の活況が続いたほか、テモナ<3985>のように見直しの動きが広がった銘柄も見られた。一方、ジーエヌアイグループ<2160>は米社買収を発表したものの利益確定の動きが強まった。決算発表で材料出尽くし感が広がったGunosy<6047>のほか、サイバーステップ<3810>やメドレックス<4586>も売られた。ジャスダック主力もセリア<2782>が同2.5%高となるなど全般堅調で、セプテーニ・HD<4293>は同12.0%高と上げが目立った。またICタグ関連のカーディナル<7855>、物流関連の遠州トラック<9057>といったテーマ株の一角や、一部証券会社レポートで業績期待の高まったアイケイ<2722>などが大きく買われた。反面、アエリア<3758>や細谷火工<4274>は軟調で、補助金収入の計上により前週まで人気だったオービス<7827>は急反落した。IPOでは、4月18日にマザーズへ上場した旅工房<6548>が公開価格の約2.7倍となる高い初値を付け、その後も買いを集めた。<br/><br/>今週の新興市場は、イベント通過による相場全体の地合い改善を背景に、しっかりした展開となりそうだ。ただ、今週から大型株の決算発表が本格化するため、市場の関心は大型株に向かいやすくなる。新興市場の決算発表のピークは5月に入ってからだが、足元では業績期待が高い銘柄の決算を先取りする動きが見られる。先の調整で値ごろ感のある銘柄が多いことも中小型株物色を誘いそうだ。<br/><br/>今週は4月27日にJストリーム<4308>、インフォコム<4348>、ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング<7774>、沖縄セルラー電話<9436>、28日にペッパーフードサービス<3053>、Aiming<3911>、ブロードメディア<4347>、ブランジスタ<6176>、ワークマン<7564>、エリアリンク<8914>などが決算発表を予定している。インフォコムは従前に前期の業績観測が報じられている。また、26日に発表されるLINE<3938>決算なども関連銘柄に影響しそうだ。<br/><br/>IPO関連では、4月25日にアセンテック<3565>がマザーズへ新規上場する。同社は仮想デスクトップソリューションを手掛け、サイバーセキュリティ関連などの投資テーマから人気を集めているようだ。また、同社上場後は6月までIPO空白期間になるとみられており、投資家の初値買い意欲が高まりそうだ。<br/><br/><br/>

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